9】コーヒータイム/潤 ページ9
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ブラックライトの青い光に疲れた俺は
実験用のゴーグルを脱いで、スイッチを消し
一旦休憩をとることにした。
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残り少ないコーヒーをカップに注ぎ、皮のひび割れたソファーに腰を下ろす。
そして、熱いそれを一口すすり
窓の外を眺めて…
『今頃、つまんない再会でもして、つまらない酒でも飲んでるのかね…』
などと、同窓会にかこつけて消えた浅倉翔に…頭の中でいちゃもんを付けてみた。
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同期入社で、同じ部署…
翔に、ライバル心が無いと言えば嘘になる。
ただ…
俺とあいつは、何かが決定的に違っていた。
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コーヒーを片手に、アイツのデスクに向かい
いつか聞いた「パスワード」を、そこに書き込む。
現れたのは、ヤツの日記。
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11月×日
今日は、これから同窓会に向かう。なう。
思い入れはそれほど無いのだが、間違いなく強制残業よりはマシだ(笑)
着ていく服 いまいち微妙…とはいえ
野郎だけの集まりらしいので、変に気合いも入れにくい。
よって、何事も無難が一番。
花子は 今日も元気なり。
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潤「…花子は今日も元気なり…か。 …おい花子。お前、結局毎日元気だな。」
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翔の、会社用暇つぶしペットの「花子」は
相変わらず 小さなプラスチック水槽の隅っこに陣取っている。
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俺は、その脇にコーヒーカップを置いて
またいつものように、日記にロックをかけ…電源を落とした。
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盗み見た、収穫の無い日記。
ほんの少しの罪悪感と同時に
いつも通り、また感じた…アイツのこういう…ヌルさ。
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小さな研究室を見渡し
その度に 俺は思う。
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いつか…トップに這い上がってやる。
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悪いね、翔くん。
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でもさ、気をつけないと
いつ誰に足元すくわれるか…わかんねぇよ?
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作者名:サハラ | 作成日時:2011年11月5日 3時