15】パンドラBOX/和也→★次節へ ページ15
∬∬∬
・
起きた時には、絶不調。
昨日、慣れない夜遊びなんかしたからだよなぁ…
歩きで帰ってる時も、寒かったし…
・
あぁ、そうだわ。ついでに薬飲むのも忘れてた。
・
ベッドから起き上がると、頭の中で 重い水がユラユラ揺れて
その波が頭の壁に当たる度、ズクンと痛みを感じた。
あ〜、うっとうしい
注射針でもブッ刺して、水抜き出来りゃあいいんだけどね(笑)
・
薬の袋を束ねる輪ゴムに、人差し指をかけて…ふと
昨日、居酒屋に向かう時に
追いかけて来た智の…膨れっ面を思い出した。
・
そうだった。
確かあれ…ポケットに入れたんだったな…
あ…あった、あった♪
・
『…ん……忘れ物!…フンだ!』
・
ポケットから
受け取った、外出用の…シルバージッポ型のピルケースを取り出しながら
ついついまた、『フンだ!』のガキ臭さに笑ってしまう。
・
時計を見たら もうお昼。
おっと…早くあの子にメシを食わせなきゃ(笑)
・
そして、鼻をすすり
ピルケースを机に置いて…上着の、反対側のポケットに手を入れた。
・
そこに入っていたのは
昨夜、森田雅紀から渡された…小さな小さな楕円のおもちゃの缶ケース。
小学生の時に
アイツと交換し合った…
懐かしい…オレの「パンドラ」の箱。
・
∬∬∬
・
雅紀「え?開けてないよ?だって、そういう約束だったでしょ。」
・
森田雅紀は…期待通り…あっけらかんとそう言った。
・
和也「…俺は、開けちゃいましたよ。中も…しっかり読みました。」
雅紀「えっ…本当に?…ちょっ、マジで?何て書いてあった?…うわぁ、恥ずかしいんですけど…」
和也「…まだ、夜 一人でトイレに行けない。それと、お母さんに内緒で…道草して友達とラーメン食べた。3組の友美ちゃんが好きで…」
雅紀「分かった、タンマ!もうやめてよぉ(笑) …あ〜、でもそんなの書いたんだ オレ。」
和也「…本当だ。…本当に見なかったんですね、そっちは。」
・
森田雅紀の返事は、聞くまでも無い。
小学生の俺が仕掛けた、幼い罠は
あの日のままの姿で…今、この手に戻されていた。
・
・
∬∬∬
ラッキーアイテム
革ベルト
114人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サハラ | 作成日時:2011年11月5日 3時