11】トゲトゲ/雅紀 ページ11
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雅紀「…テロ…え?」
翔「テロメア(笑) その…まぁとにかく、寿命に関しての研究をしてるんだよ。」
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そうやって説明をまとめた翔ちゃんは、グラスについた水滴を拭い 微笑む。
そして
翔「そっちは?今、どんなことしてんの?」
と言って、顔をこちらに向けた。
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雅紀「オレ? 俺はねぇ、今 介護の仕事してんの。」
翔「へぇ、あ でも分かるよ。向いてるよな、そういう仕事。」
雅紀「カズは?…」
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つい、お決まりの流れで話を振っちゃってから…「しまった」と思った。
さっきまで、ニコニコと合いの手を入れていたカズは
考え事をしていたのか…翔ちゃんの向こう側で
俺らの視線が集まってから
和也「…え?…ああ、親の仕送りで生活してますよ、俺は。」
引け目も何も無い、さらっとした無表情で
あっさりとそう答えた。
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翔「…ふぅん、そっか… …なら、例えば…こういうことやってみたいとかさ… でも、確かになかなか無ぇもんな、やりがいのある自分に合った仕事って(笑) ま、焦らずゆっくり探せば…」
和也「…焦ってはいないですよ。ちっとも。」
翔「でも、ずっとって訳にはいかないだろ? いきなり仕送り途絶えたりしたら、困んじゃないの?」
和也「大丈夫です。困っても、誰にも泣きついたりしませんから。」
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翔ちゃんは、カズの言葉に 一回キョトンとした顔を見せた。
そして
引っかかったトゲを馴らすように、うんうんと 何度か頷いて
残り少ないツマミの皿に、腕を伸ばした。
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雅紀「そうだ。メアド交換しよ?またいつ集まれるかわかんないし。ね?(笑)」
翔「そうだな、えっと携帯…っと。…カズは?」
和也「ああ…はい、いいですよ」
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翔ちゃんは、俺と…次に、カズと携帯を向き合わせて
また一瞬、キョトンとした。
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翔「あれ?二人は?」
和也「もう知ってるんで。じゃ…オレ そろそろ帰ります。」
翔「おう…そっか、またな?体に気をつけろよ」
和也「久しぶりに会えて楽しかったです。またね、翔さん。」
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カズは、俺には目線だけの挨拶をして
賑やかな広間から 去って行った。
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作者名:サハラ | 作成日時:2011年11月5日 3時