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あれから一週間くらい経った。光陰矢の如し、なんて言うが本当にその通りである。体感的に1日で10年くらい経った感じがする。


私は今日という日を楽しみにしていた。しかし自分が今まで助けることができなかったアイドルをこの目にしっかりと焼き付けておかなければいけない。自己満足と言われるかもしれないが、今の私にできる精一杯の努力だ。


「あんずちゃん、遅いな......」

集合時刻から10分が経った。いつもは30分前に来るあんずちゃんが連絡もなしに遅刻するなんて珍しい。


暇だったので周りを見渡す。やはり人が多いな、みんな「盂蘭盆会」を観にきたのかな。と思ったがおかしい。一つはニューディーの集客力でここまで行けるとは思わないし、盂蘭盆会の会場と違う方向に向かっている。何かやっているんだろうか。なんとなく嫌な予感がしたため調べてみることにした。タイミングがいいのか悪いのか、電話がかかってきた。


「もしもし」


『ごめんね、Aちゃん。連絡遅くなっちゃったし......。用事が入っていけなくなっちゃた」

あんずちゃんだ。よかった何事もなくて。あんずちゃんに聞けば何かわかるかなぁ。


「ううん、大丈夫だよ。ところで今日は『盂蘭盆会』以外のライブあったっけ」


「え⁉あ、な、ないよ。時間だからもう切るね!ばいばい〜!」

とあんずちゃんは電話を切った。


あの慌てぶり、何かあるんだろう。何かトラブルでもありそうだ。

所謂ネットサーフィンとなるものをしているとまぁこれがげんいんだろうなというものを見つけた。『Crazy:B 』が同日同時刻で突発ライブをしているみたいだ。無名のアイドルと今話題の(悪い方向で)アイドルのライブのどっちが観たいのか言われると一目瞭然だ。後者だろう。


多分あんずちゃんはその会場にいるだろう。私もプロデューサーとしてそちらに向かった方がいいのだろうか。

彼女は私に突発ライブのことを隠そうとしていた。あんずちゃんは自分のできることをやっている。私も自分にできることをやらなければ。私の足は自然に大勢の人の足とは違う方向を向いていた。

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作者名:月海 | 作成日時:2020年10月17日 20時

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