21-2. 顔で ページ38
一昨日の夜、仕事をしていたら、
「…かずくーん」
彼女が俺を呼んだんです。
「ん？」
「…忙しい？今」
「…まぁ。でも、何だ」
彼女が聞くんで、俺は正直に答えました。
あ、もちろん彼女の話も聞くつもりでした。そのための「何だ」なんですけど。
そしたら彼女、
「…つかれた」
そう一言、言ったんです。
「…ああ、お疲れ」
俺はまぁ、激励とまでは行きませんが、そう声を掛けました。
でも、
「…ちがうよ、そうじゃなくて…」
彼女、もじもじしながら何か言いたげにしていて。
「…じゃあ何だ」
「…言わなきゃだめ？」
「…いや、言わなきゃ分からない」
直接聞いたのが気に入らなかったのか、
「…もーいい。おやすみー」
そのままへそを曲げて、寝室へ行ってしまったんです。
「おい、A」
俺はまぁそこに取り残されまして…。
「…志摩」
全てを離し終えると、隊長はため息とともに俺の名前を呼んだ。
「…はい」
あ、これ怒られるなと思って身構えると、
「あんた刑事としてはピカイチだけど、彼氏としては伊吹以下のバカね」
案の定、怒られた。
「…えっ…い、伊吹…以下？」
そこは聞き捨てならない。
「Aちゃん大変ね。かわいそう」
「いやいやいや、ちょっと待ってください。なんでそうなるんです?今、俺だめなとこありました？」
「むしろ駄目なとこしかないけど」
「…え？」
Aの肩を持ちまくっている隊長の目は恐ろしく冷たい。
「いい？男と女は脳の造りが違うの。男より見えるものが多いの。だから疲れるの」
「…は、はぁ」
「で、女がだいたい弱音吐くときは、決まってるの。してほしいことが」
「…それは…」
意味が分からないといった顔の俺に、
「甘えたいの」
隊長はずばりそう言った。
「…甘え、たい」
「何で疲れたかとか、聞かなくていいの。お疲れ、とか慰めなくていいの。そんなのねマメジの話より意味ないの」
隊長、マメジのことよっぽど嫌いなんだろうな。そのマメジよりも無意味な俺の発言って…。
「…じゃあ、どうしてあげれば良かったんでしょう」
「甘やかすのよ」
「…甘やかす」
「それはカップルごとに違うから一概にこれ、とは言えないけど」
「…は、はい」
「彼女が弱ってるとき、どうしてあげたら元気が出たか考えなさい」
「…了解です」
隊長にそう言われ、俺は静かに頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
結城(プロフ) - 伊吹さんの方からやってきましたがやっぱりため息でますー(//∇//)たまたま早起きして読んでいたのですがにやにやとため息でバッチリ目が覚めました！ありがとうございます^ ^ (2020年9月4日 5時) (
レス) id: 3f7c57052f (このIDを非表示/違反報告)
MAYU(プロフ) - ありがとうございます。楽しみにしてます(*^^) (2020年8月28日 1時) (レス) id: 68cb4525c6 (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - MAYUさん» MAYUさん！初コメント＆リクエストありがとうございます！今書いていますのでもう少々お待ちいただけると嬉しいです！ (2020年8月27日 23時) (レス) id: fd0b490cca (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 志摩さんリクエスト。恋人夢主。志摩がお世話になってるからと紅茶のシフォンケーキを焼いて4機捜に差し入れしに行く話し。上司である桔梗にはゆたか君達と食べる用に別に用意。夢主のケーキに癒される志摩さんの話しお願いします。 (2020年8月25日 14時) (レス) id: 9070337cc8 (このIDを非表示/違反報告)
こな(プロフ) - リクエストです！ナイトプールで事件発生。404が現着。ヒロインに遭遇。水着ガン見。伊吹にぶちギレ志磨さん。伊吹に言わせたいのが、ヒロインちゃん、おっきいのね。ってな感じです。笑 (2020年8月24日 12時) (レス) id: 3a7ce308f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リトルバード | 作成日時：2020年8月5日 0時
