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地縛霊―21― ページ21

それっきり会話は続かず、家に着いた時「夕飯、作るよ」と、姉貴が一言だけ言った

俺は「一人で食える」と言ったが、結局「まぁ、好きにすれば」と付け足した




今日は部活をしないで帰って来たから、Aもまだ飯の支度をしていないはず

姉貴の事は……まぁ、適当に話していれば雰囲気で察するだろう



でも、姉貴を家に連れて来た事により、俺達は大きく揺れる




『おかえり!今日は帰り早いんだ……』


「お邪魔します」




Aが玄関に出迎えに来ると、姉貴の存在に気付き、そして、言葉を失ったように固まった

どうしたのかと思った瞬間、Aが涙を流した




『あーちゃん……?あーちゃんだよね?』


「真?立ち止まってどうしたの?」


『あーちゃん、あーちゃん……!』


「あ、いや……」




Aはその場でわっと泣き出した

でも、当の姉貴はAの存在に気付いていない

どういう事なのだと今すぐ聞きたいが、俺はぐっと言葉を飲み込み、家に入った




「部屋、ちゃんと片付いてるね。やっぱり綺麗で羨ましい」


「姉貴は掃除、下手だったな」


「い、今はちゃんとできるよ?もう大人だし、結婚もしたし!」


「ふはっ、どうだか」




俺は先程玄関で泣き出したAの様子をちらりと盗み見る

でも、既にそこにAはいなかった




「ここって……嘘、でしょ……」




その時、姉貴が取り憑かれたかのように外の景色を見ては呟いた




「間違いない……同じ、だ……」


「同じ?」


「1年3組から見える景色と……同じ……」


「?」




何の事だ

そう思った時、姉貴が突然帰ると言い出した




「ごめん、ちょっと、私も具合悪いみたい……本当にごめんね。また、埋め合わせするから」


「別に、いいけど……」


「それじゃぁ、真も今日は安静にね」




俺よりも、顔色の悪い姉貴の方が重症に見える

Aといい、姉貴といい、一体何なんだ

2人の間に、何かあるのか……?




「一つ、聞きたい事がある」




玄関を出て行く前、姉貴に尋ねた




「Aって名前に、聞き覚えあるか?」


「っ!!やめて!!」




すると、姉貴がいきなり叫んだ

まるで思い出したくないかのように、拒絶するように




「あっ……ごめん……今日はもう、帰らせて……お願い……」




そう言って出て行く姉貴を、俺はそれ以上引き止めることができなかった

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設定タグ:黒子のバスケ , 花宮真   
作品ジャンル:恋愛
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みかん(プロフ) - 五月雨雫さん» わぁぁコメントありがとうございます(´;ω;`)!!!完結後にも感想をいただき本当に嬉しいです(泣)おかげさまで私も作ってよかったと思えました!!またどこかでお会いできることを楽しみにしています(*‘∀‘) (2020年5月11日 9時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨雫(プロフ) - 全話読ませてもらいました!!凄く好みの感動系でなんと言ったら良いか…!作品、物凄く好きです。読者一意見として作ってくださってありがとうございます!! (2020年5月10日 8時) (レス) id: 603d70d68d (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» ご丁寧に返信までいただきありがとうございます(泣)感謝感激です(´;ω;`)これからも誰かに感動してもらえるような作品を作れるように励もうと思います!こちらこそありがとうございました(泣) (2019年11月20日 11時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - こちらこそ本当に素敵な作品をありがとうございました。最後のお話で本当に感動で泣けました泣ありがとうございました!!! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» あああぁぁああぁ(嬉し過ぎて語彙力が著しく低下しました)笑。コメントありがとうございます!!まさか、自分の作品で感動していただける日が来るとは……その事実に私も感動しました(泣)作ってよかったと思えました!!本当にありがとうございます!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 60ab1a28d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/alice99101/  
作成日時:2019年10月1日 17時

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