理性と野性は相容れない【花宮真】

地縛霊―14― ページ14

「今回のテスト範囲広すぎね？特に数学はやばいって」


「別に、普通だろ」


「学年トップは余裕があっていいよな〜。どうせなら雛ちゃんに1対1で優しく教わりたい」


「お前……しつこい」


「言うだけならタダだろ？」


「あの年増のどこがいいんだよ」




移動教室の途中、原とくだらない雑談をしながら歩いている時の事だった

いきなり後ろから「ゴホン」と、わざとらしく咳払いをした人物を振り返る




「花宮くん、午後の授業が始まる前に職員室に来るように」




そこにはわざとにこやかに笑う雛森がいた

なんてタイミングが悪い……

そう思った時には既に遅く、原は俺の肩に手を置いて「ドンマイ」と言った




昼食を食べ終わり、仕方なく言われた通り職員室に向かう

俺はいかにも不機嫌オーラを出しながら雛森の所に行くと、「来ましたね」と気にしていないかのように笑顔で出迎えた




「次の授業で使うプリント、運んでもらってもいいですか？」


「……生徒に八つ当たりなんて、良くないんじゃないですか？」


「何のことですか？……あぁ、先程の事なら気にしていませんので大丈夫ですよ。"子供"のおふざけくらいでいちいち目くじらなんて立てませんから」


「おい、根に持ってんだろ」




常に笑顔を浮かべているが、言葉に棘があるのは容易に受け取れる

こいつやっぱり性格悪い




「花宮くんを呼んだのは、たまたま日直だったからお願いしただけですよ。それと、学校では"おい"ではなく、きちんと"雛森先生"と呼ぶように。お友達にも言っておいてくださいね。わかりましたか？"花宮くん"」




俺はそれ以上返事をせず、プリントだけ手に持ちそのまま職員室を後にした

地縛霊―15―→←地縛霊―13―

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す