地縛霊―1― ページ1
花宮side
長かった受験も冬とともに終わり、穏やかな風が通り抜ける小春日和
俺は高校進学と同時に一人暮らしをするため、親が選んだ新居となるマンションの前に来ていた
実家から通うには少々不便で、成績維持を条件に生活費を全額援助する約束を取り付け、学校から徒歩5分も離れていない優良物件を手に入れた
さらに、俺が住む部屋は先住人が退去した後に一度リフォームをしており、それ以来一人も入居していないらしい。俺にとっては新築同然だ
幸先のいいスタート
快適な高校生活
そうなるはずだったのに
『わぁ、貴方が新しい住人さん?男の子なんだ!久しぶりで嬉しいな〜!』
部屋に入ると、見知らぬセーラー服の少女がいた
そいつはあたかも当たり前のようにそこにいて、俺に向かってペラペラと話しかけてくる
あまりの非常識さに俺は一瞬言葉を失い、目の前の少女を怪訝な顔で凝視した
『あれ?もしかして私のこと見えてる?おーい?』
「誰だよお前……」
苛立ちや鬱陶しさ、癪に障る態度など……いろんな感情が混ざりに混ざって最終的に出てきた言葉
それでも、目の前の少女は平然と嬉しそうに微笑んでいる
『私はA!貴方の名前は?これからよろしくね!』
「よろしくするつもりもない。だから教える義理もない。出てけ」
『だって久しぶりに人と会話ができるんだもん!最近ぜんぜん人も来なくて寂しかったんだよ!?』
「お前の事情なんか関係ねぇんだよ……!どこのどいつか知らねぇけどさっさと出てけ!不法侵入で警察呼ぶぞ!」
『そんなこと言われても……ここから動けないんだからしょうがないでしょ?』
さっきから会話が成立しない
そして、こいつは一向に出て行く気配もない
どうやら意地でも自分から動くつもりはないらしい
「だったら俺が無理矢理にで……も……っ!?」
俺が少女の腕を掴もうとした瞬間
その手は少女に触れることなく、空を切った
「なっ……今、確かに腕を……」
『あれ、言ってなかったっけ?私ここの地縛霊なの』
「は!?」
俺の新居生活一日目は、謎の地縛霊により最悪のスタートを切った
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みかん(プロフ) - 五月雨雫さん» わぁぁコメントありがとうございます(´;ω;`)!!!完結後にも感想をいただき本当に嬉しいです(泣)おかげさまで私も作ってよかったと思えました!!またどこかでお会いできることを楽しみにしています(*‘∀‘) (2020年5月11日 9時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨雫(プロフ) - 全話読ませてもらいました!!凄く好みの感動系でなんと言ったら良いか…!作品、物凄く好きです。読者一意見として作ってくださってありがとうございます!! (2020年5月10日 8時) (レス) id: 603d70d68d (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» ご丁寧に返信までいただきありがとうございます(泣)感謝感激です(´;ω;`)これからも誰かに感動してもらえるような作品を作れるように励もうと思います!こちらこそありがとうございました(泣) (2019年11月20日 11時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - こちらこそ本当に素敵な作品をありがとうございました。最後のお話で本当に感動で泣けました泣ありがとうございました!!! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» あああぁぁああぁ(嬉し過ぎて語彙力が著しく低下しました)笑。コメントありがとうございます!!まさか、自分の作品で感動していただける日が来るとは……その事実に私も感動しました(泣)作ってよかったと思えました!!本当にありがとうございます!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 60ab1a28d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/alice99101/
作成日時:2019年10月1日 17時