理性と野性は相容れない【花宮真】

地縛霊―16― ページ16

次の日曜日




「「お邪魔しまーす」」




部活も午前中で終わり、昼食を済ませた午後

約束通りうちで勉強会をする事になった




「本当にここで一人暮らし！？リッチ〜」


「綺麗で落ち着きのある部屋だね」




女子2人は玄関に入るなり、興味心身に部屋を見渡している




「さっさと始めるぞ」


「勉強なんて辛気臭い事しないで遊ぼうぜ？」


「あ？勉強しないなら追い出すぞ」


「嘘です！勉強しまーす！」




俺はキッチンへ移動し、飲み物を用意するついでに部屋を見渡す

Aには事前にクラスの連中が数人家に来る事は伝えていた

『珍しいね。どんな人か楽しみ』と言ったAの顔は笑っていたが、どこかそれは虚しさが混じっているような……見た事がない表情だった

現に楽しみと言っていたAの姿はこいつらが来てからは見えない


その時、原に「花宮早くー」と急かされ、俺は一旦Aの事は頭の隅に追いやる事にした




「うーん、うーん」


「さっきから何唸ってんだよ。耳障り」


「どうしても解けない問題があるんだよ」


「っち、特別に教えてやる」


「来月のクリスマス、誰と過ごそう」


「は？」




隣で数分間、真剣に何を考えているかと思えば……あまりのくだらない内容に、思わず怒りよりも呆れが勝る

他の2人も手を止めて原に視線が集まった




「だってこのままじゃクリぼっちじゃん！彼女欲しい！」


「まぁ、確かにぼっちは寂しいよね〜」


「でしょ！？」


「くだらねー……ただの平日だろ」


「うわー、出たよイベント楽しまない人！俺は嫌だ！クリスマスだよ？彼女と過ごしたい！」


「勝手にやってろ」


「ね、2人はどうすんの？今年のクリスマス！俺と一緒にどう？」


「いい人見つかるといいね」


「原ー、がんばれー」


「うわ！遠回しにふられた！」




イベントの度に、いちいち盛り上がらずにはいられないこいつらの思考が俺にはわからない

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