レンタル婚約者―2―【赤司征十郎】

レンタル―45― ページ4

当日

いつもレンタル彼女の仕事の時は基本的にワンピースを着るのだが、今日は内容も内容なのでパンツスタイルで集合場所へと向かった

まだ時間には少し早いのだが、目的の場所には既に人影が見える

それも、よく知った人だ




『赤司さんだ……』




なんてバッドタイミングで来てしまったんだろう

さすがにまだ2人きりで話す準備できてないよ……;;

私が行くか行かないかでうろうろしていると、赤司さんの所に桃色の髪を揺らしながら一人の女性が近づいて行った

なぜか私はそれを見て、咄嗟に物陰に隠れてしまった

会話は聞こえないけど、楽しそうに話している

そういえば、マネージャーの女の子も来るって言ってたな……あの人の事かな？

遠目だけど、美人で表情や仕草も可愛らしい

赤司さんとああいう風に並んでいると……お似合いに見えるな……




緑「桜庭？そんな所で何をしているのだよ」


『！』




その時、緑間先輩から後ろから声をかけられた




『あ、いや、別に……今来たところでして……』


緑「初対面で気疲れすると思うが、我慢してくれ。できるだけ俺も気を使ってやるのだよ」


『え、あの空気が読めない緑間先輩が……？』


緑「人が心配してやっているのに失礼なのだよ！」


『あはは、嘘です。すみません。今日はよろしくお願いします』




緑間先輩と話して少し気持ちが軽くなった

そして、先輩と一緒に2人の所へ合流する




『こ……こんにちは』


緑「まだお前達だけか」


？「みどりん！久しぶりだね！」


緑「久しぶりなのだよ。青峰は一緒じゃないのか？」


？「もう！みどりんまで同じ事を聞くの！？」




美人さんと緑間先輩が久しぶりの再会で盛り上がっている傍ら、赤司さんは私に視線を向けた




赤「今日は来てくれてありがとうございます」


『！』




いつも能面のような無表情を貫く赤司さんが、ふわりと笑った

それに私服のせいか、普段より距離が近く感じる

そうは言っても、この人は年齢以上の落ち着きはあるんだけど……




『い、いえ、私は……っ』




"仕事なので"

今までの私ならそう答えていた

否、その言葉は言いかけて止まった

たしかにレンタル彼女じゃなかったら、今日私は別の仕事をしていたと思う。家族のために自分だけ遊んでいる暇なんてないからだ

じゃぁもし、そのしがらみがなかったら……私はどうしていた？

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