レンタル婚約者―2―【赤司征十郎】

レンタル―58― ページ17

母「A、もう我慢しなくていいんだよ？Aにはいっぱい我慢させてしまったけど……これからは、自分の気持ちに素直になってほしい」


『で、でも……』


母「だって、Aの近くには……Aを助けてくれる人がいる。彼の事、好きなんでしょ？」


『！……そんな……できない。もうやだよ、お母さんと一緒にいたい……！』


母「A……Aが一番よく、残される側の辛さがわかるでしょ？」




そうだ……今私がいなくなったら……また空や夏に、あんな思いをさせないといけない……

泣かせたくない……




母「Aを待っている人がいる。お願い、答えてあげて？」


『うん……』


母「本当にAはいい子だよ。だからね、A。幸せになっていいんだよ？甘えてもいいんだよ？」




その言葉に、また涙が溢れる




母「本当にもう、彼と会えなくなってもいいの？人を失う悲しさを誰よりも知っているAなら、わかるよね？」


『会いたい……会いたい……！このままお別れしたくない！』


母「Aが頑張った分、それと同じくらい……ううん、それ以上に幸せがあるの。さぁ、手を伸ばして。貴方の会いたい人を思い浮かべながら……」


『私の……会いたい人……！』




目を開けると、白い天井が映った

嗅ぎ慣れない匂いが鼻につく

一定のリズムを刻む電子音


ここは……病院？私……どうしたんだっけ……




赤「Aさん……？」


『赤司……さん？』




まだハッキリしない意識の中で、赤司さんが私の名前を呼んだような気がした

その時、




空「A姉ちゃん！！」


父「A！！」


夏「お姉ちゃああぁぁん」




反対側に顔を向けると、涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになった家族がいた

私は近くにいた夏の涙を拭う




『心配かけたね……』




そうか、私……帰って来たんだ……

大好きな家族を見て安心する




高「A……！意識が戻ったんだ！」


緑「ほ、本当に良かったのだよ……！」


『高尾先輩、緑間先輩……！』




そうだ、たしか2人と会う約束をしていて、その向かっている最中に私は……




赤「Aさんが目を覚まして……安心しました」


『！』




そういえばずっと左手に温もりを感じる

視線を向けると、赤司さんが私の手を握っていてくれた

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