赤司くんはちょっと抜けてる【黒子のバスケ】

―8―美人は女性に限らない ページ8

テストも後一日で終わる

私は夏休み前の苦い期末テストの事を思い出していた


洛山高校は京都府の中でも一番偏差値が高い学校

だから私も一般的な高校生に比べれば勉強は得意な方ではあるけど、それでも学年順位を突きつけられるとどうも落ちこみやすい

それに明日は一番苦手な教科だ


家に帰っても勉強に集中できないと思った私は、図書室で勉強する事にした




『失礼しまーす……』




小声で中に入ると、窓側の席を陣取った

他にも生徒がいるけど、みんな各々過ごしている

ぼっち属性の私にとって、この静けさは何だか心地良い




『あれ、この単語の意味ってなんだっけ』


赤「contrastは対象とか対比。でもその場合は対照的にって使い方だね」


『そうそう、いつも忘れちゃうんだよねぇ……って、あ!?』




しばらく勉強をしていて、突然隣からやって来た声に振り向く

いつの間に隣にいた赤司くんに驚いて声を上げそうになり、急いで自分の口を塞いだ

一瞬ちらちらとこちらを見る生徒もいたけど、すぐに視線は戻っていった

私は改めて小声で話しかける




『ど、どうして赤司くんがここに？』


赤「10分くらい前から隣にいたんだが、気付かなかったかい？」


『全然気付いていませんでした……』


赤「集中していた証拠さ」




どうしよう、何を話せばいいんだろう

今は先輩達もいないし、由良も稽古があるから先に帰っちゃったし……




赤「……隣にいるのは邪魔だったかな？」


『と、とんでもございません』


赤「そうか。……もし良かったら、一緒に帰らない？」


『え!?……っと、うん、大丈夫。大丈夫』


赤「よかった」




あ、あはは、今日はよく、赤司くんしゃべるなぁ！

なんて考えながらシャーペンを持ち直すけど、当然勉強になんか集中できない


隣をちらりと見やると、赤司くんは涼しい顔で読書を始めた

こんなに近くで赤司くんを見たのは初めてかもしれない

制服の上からでも分かるほど筋肉質で綺麗な体格。男性特有の骨張った手は長くてしなやか。女子顔負けの長い睫毛に肌理細やかな肌

美人とは、男性にも当てはまる言葉なんだと思った




赤「どうかした？」


『え!?あ、その、ここの意味、なんだっけ……あはは』




しばらく見つめていたら赤司くんが気付いたのか、バッチリ目が合ってしまった

私は誤魔化すように勉強の話題に切り替える

―9―沈黙の理由→←―7―犬猿の仲

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す