16 ページ16
「リーマス、泣いてる？」
「まさか。」
「泣いてるでしょ」
その身体を引き離し
俯いた彼の顔を覗き込めば
濡れた碧の瞳と、
困ったように下げられた眉
「冗談だから、そんなに泣かないでよ」
「本気で考えてしまったんだ、
君が居なくなってしまった世界のこと。
酷い、世界だった.......まるで地獄だ。」
私は、ふと考えた
彼は私に傍に居て欲しいと言うけれど
もしもこのまま私が彼の傍にいて
心臓が完全に石化してしまえば
この世から、消えてしまえば
彼はきっと＿＿＿
「ねえ、」
「なんだい？」
''私達、別れよっか''
私は無意識のうちに
そう、言おうとしていた
一体何を考えているんだと
涙で濡れた目の彼を見て思い留まる
「私はあなたが好き」
「知ってるよ。」
彼はにっこりと笑うと
その大きくて温かい手を私の頬に添える
「私の幸せは、貴方が毎日笑顔で過ごすこと」
「君が傍にいればいつでも笑顔だよ。」
嗚呼、
「もしも君の足が動かないのなら
肩を貸すくらい出来るから…
もしもその心が凍ってしまうのなら、
頼りないけど、抱きしめてあげるから。」
彼はこつん、とその額を
私の額にひっつけた
「だから、君は何も心配しないで
もっと私を頼ってくれ。」
震えて掠れた声、
頬に触れた手から伝わる温もり
その吐息に混じり香るチョコレートの匂い
「貴方の、荷物になりたくないの
これ以上背負わせたくない」
彼はひっつけていた額を離すと
その唇を私の唇に寄せ
軽く、触れるだけのキスを落とした
少しだけ、しょっぱい味がする
「愛してるよA。」
「私も、」
彼の両手が私の頬に添えられ、
そっと目を瞑れば
もう一度彼からキスを落とされる
何度か啄むようキスをしたあとに
歯列をノックするのは彼の舌
大人しく受け入れれば
段々とキスが深くなっていって、
「私は決して強くない、寧ろ弱い
それでもいいんだ君を愛してる。」
愛しているのは私だって同じだ
その幸せを願う気持ちだって
私は貴方に負けないくらい強い
だから、だからね
ごめんね＿＿＿
気付いて、しまったんだ
ダンブルドアが言った言葉の意味
夢の中の少女の言葉の意味
彼の幸せを本当に願うのなら
私は傍にいちゃいけない
最期まで、彼の傍にいちゃいけないんだ
彼に背負わせてしまってはいけない
だから＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
usagi(プロフ) - 弐七さん» 有難う御座います、凄く嬉しいです。是非、最後まで楽しんでいただければと思います：) (2019年12月8日 12時) (
レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
弐七(プロフ) - あーーー！！！もう！！このシリーズ読んで何回泣いたんでしょうか…。もう、もう、言葉が出ないほど甘くて、切なくて、二度ほど読むのを止めたくらいです（笑）。でも本当に心がぐっと掴まれる作品だと思います。最終章楽しみです。もう待ちきれません。 (2019年12月6日 22時) (レス) id: c70bc84ad6 (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - エマさん» 有難う御座います、次の更新は12月の中旬になってしまいますが実習を無事に終えて必ず戻ってきますので！二人の結末を最後まで見届けて頂けると嬉しいです：) (2019年12月1日 15時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - 梨音さん» コメント有難う御座います、2人の結末がどうなるのか、一緒にしっかりと見届けましょう！ (2019年12月1日 15時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - no nonさん» いつも有難う御座います！二人がどんな結末を迎えるのか、最後まで見届けて頂けると嬉しいです：) (2019年12月1日 15時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usagi | 作成日時：2019年11月26日 22時
