何も出来ない白色ヒーロー【まふまふ】 (ページ7)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:7,124 hit

5話ページ7

関西弁はわからないのでエセ関西弁です。本場(？)の方は我慢してください。
────

記憶を無くして2日目。じわじわと無くなっていく記憶に怯え始めた。

因みに本日のお客様は坂田さん。ちゃんと覚えていた...少し記憶は無いけれど。

私を見るなり「俺のこと覚えてる？坂田なんやけど...」なんてしょんぼりして言うものだから思わず笑うと、「覚えてるんやな！やった！」と喜んでくれた。

「今日は遊びに行こ、な！」

「えっ、何処に？そして今から！？」

「勿論！遊ぼ、遊ぼー！」

「ま、待ってください！準備してきますからっ！」

準備という言葉にピクリと反応して待ち始めた。...忠犬みたい。

適当に服を引っ張り出して、財布とスマホを持って坂田さんに声をかける。

「お、可愛いね。それじゃあ行こ」

もう何を言っても無駄なので大人しくついていくことにした。

「ここ！カラオケ～♪」

「カラオケは久しぶりです」

「でしょ。だから行ってもええかなって」

カラオケボックスに入り曲を入れて歌っていく。

「はあ～相変わらず上手いなあ。高音羨ましいわ」

「あはは。でも坂田さんも素敵じゃないですか」

「マジで？やった、Aちゃんに褒められた」

太陽みたいに優しくて眩しい笑顔を向けてくれる。褒めてここまで喜んでもらえるとこちらも嬉しいものだ。

「じゃあ今度は一緒に歌お！」

マイクを差し出されて曲を入れられる。よし、歌おう。

楽しい時間はあっという間に過ぎるわけで帰る頃には日は傾いていた。

「俺こっちやから、ここでばいばいやね」

「そうですね今日はありがとうございました」

「いやいやこっちこそごめんな？何も言わずに連れ出してさ。まふまふに怒られるかもなー。まふまふはAちゃん大事やもんね。...付き合ってるん？」

「え、まさか！そんなわけないですよ」

「顔真っ赤やで～。んふふ」

「やめてください！」

思い出したように坂田さんは口を開いた。

「俺のこと忘れてもいいから絶対に思い出してな。また一緒にカラオケ行きたいし、今度は別な所も行きたいもんな！...約束！」

こくりと頷くと坂田さんは満足そうにあの暖かい笑顔で指切りをしてくれた。

真っ赤な髪の毛に夕日が照らされてとても綺麗だった。