第30話 ページ30
「見かけない子だね。ローズ、何処で知り合ったんだい？」
「えと……」
ローズは言葉に詰まった。
「とっても綺麗な子だねぇ。もしかして、お金持ちの子じゃないかい？ローズが仲良くしてるってことはーー何か良い事があるかもしれないよぉ？」
さっき場所を教えてくれた女性がキノの身成を見て、にんまりと笑みを浮かべた。
ーーしまった……軽率だった……！これじゃローズに迷惑がーーどうしたら……。
ーーとにかく、この場から離れなくちゃ！！
キノは魔法陣を出現させた。
「えーー！？」
ローズが驚きの声をあげる。
女性二人に忘却の魔法を当てると、ローズの腕を掴んで一瞬でその場から消え去った。
魔法陣で現れた先は、いつもの場所。
ローズが固まったままキノを見つめている。
信じられないという顔で自分を見つめる瞳を見て、キノはやってしまったと強く思った。
『……ローー』
「今のは何？何をしたの？」
『い、今のは……』
「………」
キノは思いっ切り頭を深々と下げた。
『ごめんなさい！嘘をついて！！私、実は魔法使いなの！』
「魔法……使い……？」
『ふ、不思議な力が出せる……人のことを言うの』
「やっぱり」
『ーーえ？』
「何となくね……そうじゃないかな〜て思ってたの。あのお城から女の子の足で来れる距離じゃないもの。馬も近くに止めてるわけでもないし、馬車も見えなかったし。それに……村長がちょっとだけ言ってたことを思い出したの。不思議な力を持った人間がいるとかいないとか……」
『……じゃあ、ローズは……ずっと前から……？』
「そうね……今ので確信したけど。でも、母さん達に何したの？」
ローズは怒ってはいなかった。
『……えと……軽くだけど……私を見た記憶を消しただけ……』
「……そっか。ケガさせたわけじゃないのよね？」
『それは勿論よ！』
キノが慌てて言うと、ローズは困ったように笑った。
「わかった。キノを信じるわ。あたし達、親友じゃない！」
『……しん……ゆ……う？』
初めて耳にする単語に、キノは首を傾げた。
「なあに？親友って言葉知らないの？？」
ローズが目を丸くする。
『ぅん……初めて聞く言葉だもの』
そう言うと、ローズは何故か嬉しそうに笑った。
「変な子！あたしよりも凄いことしてるのに、知らないこともあんのね！！」
『……』
「親友ってのはね、一番大事な友達って意味よ！」
『一番大事な友達……』
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年5月5日 9時
