【◇】年下はお断りです 2

年下78 ページ29

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『ここで選手の交代をお知らせします』




八回表。

倉持が苦心の末進塁した直後だった。




『セカンド小湊亮介くんに代わって代打小湊春市くん』




「……なんでっ…」





なんで代わっちゃったのよ。




グラウンドから降りようとする小湊を睨みつける。




なんで……


いや、小湊が自ら進んで代わった理由がチームのためだってこと、本当は私だってわかってるんだ。



今、流れに乗っている青道の足を自分のせいで止める訳にはいかない

きっとそんな小湊らしいバカみたいな考えだってこと。




だけど呟かずにはいられなかった。





「……チームのためチームのためって…！！」




ちょっとはわがまま通しなさいよバカっ、と両手に握りこぶしを作って目を瞑る。





「どんなに頑張ったってもうこの夏は戻ってこないのにっ…」





そう言った時だった。




「それでも小湊は自分でチームを優先したのよ」




チームを信じてるから。



……私だって信じてないわけじゃない。

だけどこの状況をひっくり返すなんて…



たまらなくなって貴子を見つめる。

すると貴子は優しく笑って言った。






「小湊はさ、今負けてるこの状況でも諦めてないのよ」




……やっぱ貴子はマネージャーだ。



私なんかより何倍も輝いてて何倍も頼りになる。

そんな貴子の優しさはどんどん私を嫌な人にさせる。





「……だ、だけど…これじゃもう番回ってこないかもしれないじゃない」

「それも全部ひっくるめて小湊は託したの」





あなただって本当は痛いほどわかってるでしょ。






「だから私達も信じて応援しよ」と私の握っていた手を1本1本開く貴子。








「まだ試合が終わったわけじゃないの」









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