【◇】年下はお断りです

年下43 ページ44

御幸




「……いいよ」




ちょっと悲しそうな顔をした先輩。



とにかく亮さんより先に見つけようと慌てていて最初は気づかなくて通り過ぎようとしたけど、手に持っていたスマホケースに見覚えがあって、もしかして、と見てみるとやっぱり先輩だった。





「どこから行きます？」





正直言うとそこまで期待してなかったから、いつもより高いポニーテールやぴったりの浴衣姿に驚いた。



……だから嘘だってついてしまった。





「うーん…かき氷綿あめたこ焼き焼きそば水あめ…」

「さっきから食べ物しか言ってませんよ(笑)」




ていうかどんだけ食べるんですか？



笑いながら聞くと「良いじゃない、こーゆー時くらい！」とむくれた先輩。




「太りますよ？」

「……余計な心配すんな！！」




明日からダイエットすんの！と叫んでる先輩に、そう言ってる人こそしないんですよねーダイエットって、と言うと何も返されない代わりに殺意のこもった目で睨まれた。





「あ、先輩たこ焼き」

「……食べる」




歩いこうとする先輩を引き止めて歩き出す。





「えっ」

「奢ります」




「……良いの？」





遠慮しないですぐにそうやって頼んじゃうあたり先輩らしいな、と思ったけど怒られるから言わないでおく。





……嘘をついてしまった負い目もあるし。







・

年下44→←年下42

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す