【◇】年下はお断りです

年下48 ページ49

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「で、何で泣いてるわけ」

「泣いてない」





どこに連れていくのかと思ったら人気のないベンチ。

あの後ちょっと人混みを歩いて足を止めた小湊は私の顔を見てまたスタスタ歩き出した。




「あんま意地張ってると嫌われるよ」

「泣いてないの！！」




めんどくさいんだけど、とか聞こえたような気がしたけど聞いてない。聞こえてない。





「お前俺と行くの泣くほど嫌だったわけ？」

「泣いて…」

「泣いてるか泣いてないかなんて聞いてないんだけど？」




頬を引っ張られて痛さに耐えかね「痛い！」と叫ぶ。

やっと離してくれてポツポツ話し出した。





「……小湊と行きたくなったとかそんなんじゃない」





嘘付かれてその程度の女にしか見られてないってわかって悔しいだけ。





「ちょっとは信用してやってもいいなんて思った矢先だったから」






他の女の子の要望ではなく私を選んでくれたなんて自惚れた矢先だったから。







「悔しくて悔しくて…」






目から零れてくる大量の水を拭う。



ごめんね、お姉ちゃん

大事な浴衣汚しちゃった…



この場にいないお姉ちゃんに誤っていると




「お前ってホントめんどくさいよね」




そう言ってハンカチを渡してくれた。

鼻噛んだら弁償ね、というのはきっと照れ隠し。2年間あればこんな事は容易にわかるようになる。





「ありがと」





ようやく拭い終わって返すと、こちらに片手を出して立ち上がった小湊。





「行くよ」




どこに？と聞いたけど「うるさいから教えない」と何とも理不尽な答えが返ってきただけだった。






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