【◇】私と彼の秘密の文通 (ページ34)

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文通33 ページ34

御幸

「やば。課題教室に忘れた」

今日は早めに部活が終わって

着替えなどを終えて寮に戻ろうとすると

一緒にいた倉持の手には明日の課題があり思い出した。

「ひゃははっ！お前意外と抜けてんだな！」

「うるせー」と一言だけ残して

ダッシュで教室に向かう。

たぶんまだ校舎の鍵は締まっていないはず…

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もうこんな時間だからだれもいないだろうと

教室のドアを乱暴にバンっと開けた。

するといないと思っていた教室のなかで

「わっ！」という声が聞こえた。

「……え」

窓側で雑巾を手に立ち尽くしている女。

そいつは俺を見て「あ」と小さく叫んだ。

「……筒井さんだっけ？」

相変わらず女子の名字を覚えてない。

しかもこの前レモン水作ってくれた子なのに…

怒るかと思ったけどそいつはクスっと笑って

「おしいです。堤です」と言った。

おしいです。などと笑って言われたことが無かった俺はちょっと嬉しくなって

「俺の名前わかる？」と聞いてみた。

「御幸一也さんですよね？女子の間でも有名ですよ」

「それに…」と言って慌てて口を抑えた堤。

「え？」と聞き返すと「何でもないです」と誤魔化されてしまった。

「ていうか何でこんな時間に雑巾持って立ってんの？」

ちょっとためらってからゆっくり口を開いた。

「私、本当は当番じゃなかったんですけど…」

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