文通19 ページ20
御幸side
昼休み。
授業終了のチャイムが鳴り
俺はいつものように席を立った。
すると
いつもは何も言わない倉持が珍しく声をかけてきた。
「なあ、お前何でいっつもどっか行ってんの？
ぼっちのお前が行く場所なんてどこに…」
「ひでぇ
ぼっちなんてお前には1番言われたくないわ。
図書室だよ。
ほらあるじゃん、あんまり使ってるやつ居ねーけど。」
「……………優等生アピールでもする気か」
「ははっ
そういうことで。
どっかの活発な元ヤンとは違って
俺は静かな図書室が似合うんだわ〜」
てめぇ！ざけんな！
と倉持の怒声が聴こえたけど
俺はスルーしてさっさと図書室へ向かった。
『バカ村くんって子と仲いいんですね
まだあんまりよくわかりませんけど
なんとなく伝わってきます。
エースって三年生の丹波さんですよね？
デッドボールに当たってしまったと……
でも、そんなこと言えるのできっと他の先輩も頼りになるんでしょうね。
一刻も早いエースの復帰を期待しております。』
……仲良くは無い。うざい後輩だ。うるさいし。
さすが、野球好きなだけある。
もうこんな情報知ってるんだ……
まあ、哲さんや純さんのおかげで
投手陣の士気、
いや
野球部の全体の士気がそこまで下がらずに済んだのは事実だ。
『おそらく私かと…
まあペンネームなので本名は書かれてませんよ(笑)
本当ですか！？
嬉しいです。ありがとうございます。
でもその知り合いの方、どうして見つけたんでしょうね？』
そう思ってその知り合いに作者の名前は聞いておいたけど
ペンネームだからということで覚えていないという。
まあ、知り合いっていうのは亮さんなんだけど。
「女子だけの文芸部で本格的な野球ものを書いてたやつがいてびっくりしたよ」
そう言って半ば強引に押し付けられたけど
いざ読んでみるととても面白くて一気に読んでしまった。
『どうして知ってるんですか？』
そりゃ、貸出カードに学年とクラスが書いてあったから……
まあ、クラス言ったらバレちゃうから
まだ内緒にしておこう。
・
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作者名：そら | 作成日時：2016年1月21日 20時
