【◇】俺はお前が好きだから (ページ38)

今日:11 hit、昨日:36 hit、合計:162,544 hit

想い38 ページ38

・

「御幸くん、どうぞ」

もう練習は終わっていたので青心寮の方へ来てみるとやはりこっちの方にいた。

この寮に女子が来ることは珍しいらしく(しかも他校の制服を着ている女子)青心寮の中に入って声をかけるとじろじろ見られた。

しかし、御幸くんに会いたいのですがと言うと、ああ…なるほどね…という顔をしてから教えてくれた。

やっぱり御幸くんって人気だから女子がよく訪ねてくるのかな…

「わざわざありがと」

「いえいえ、とんでも無い」

そしてふーぅと息を吸う。

さっき決心した。もう隠れてないで、怖がらないでちゃんと伝えよう。

「ずっと言ってなかったんだけどさ」

＿＿＿一番嬉しかった

無邪気に言った彼の顔が思い浮かぶ。

「ずっとずっと前から」

＿＿＿一也に勝つ自信はある

いつもヘラヘラしてるくせに真剣な顔になったあの時。

「私、御幸くんのことが好きだった」

途端に全身から力が抜けた。

やっと言えた。やっと好きって言えた。

3年越しの片想い。やっと伝えられた。

「ごめん…俺…」

「良いの、謝らないで」

叶わないなんて初めからわかってたから。

申し訳なさそうにしている御幸くんに伝える。

「じゃあ、それだけだから」

すっと立ち上がって「お邪魔しました」と言い、部屋をでた。

……これでやっとスタート出来る。

私はもう御幸くんを忘れる。

そして今目の前にいる私を思ってくれる大事な人に会いに行く。

まだしばらくは引きずってしまうかもしれない。

でもあいつならきっと忘れさせてくれる。

・