【◇】俺はお前が好きだから (ページ34)

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想い33 ページ34

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「西村」

走って帰ってきてぜーぜーしてると

後ろから呼び止められた。

くるっと振り返ると爽やかな顔で立っている御幸くん。

「どうしたの…こんなところで…」

今さっき走っていたので途切れ途切れになってしまう。

くそ、ちょっと走っただけじゃん。

これだから文化部は運動不足が…

「大丈夫かよ(笑)そんなぜーぜーしてて」

「大丈夫大丈夫。で、何でなの？」

心配してくれてたことが嬉しくて

さっきまで引きつっていた顔が自分でもわかるくらい笑顔になる。

「今、悠里の家行って来た」

「……そっか」

……バカだよな。

ちょっと心配されただけで舞い上がって。

さっきのは御幸くんの優しさだよ。

「……楽しかった？」

「うんまあ。好きなヤツといるっていうのはやっぱ違うでしょ」

照れたのか髪をかいて誤魔化している。

好きな奴って言うのってそんな恥ずかしいのかな…

「そういえば西村、悠里と最近会ってる？」

「……ううん」

「じゃあ、なるべく時間あったら会ってあげてよ。無理は言わないけど。

あいつ、言わないけどたぶん西村に会いたがってるよ」

……好きな人の彼女と会えなんて言われても。

しかもその好きな人に。

何で私だけこんなみじめなの。

何で私だけこんなに辛くなんなきゃいけないの。

もう悠里にさ会いたくないなんて思ってどう答えようか迷っていると後ろからグイッと腕を強く引かれた。

「はい没収」

「は？成宮？」

「……何で鳴ここに来てんの」

「どーでもいいのそんなこと！

ていうかお前彼女のこと外でベラベラ喋んないでくれる？独り身の俺達にとっちゃただの皮肉にしか聞こえないんだけど！」

「……それはご苦労」

「ほら！わかったらとっとと帰る！」

「えっちょっと！御幸くん！？」

しっしっとやって御幸くんが苦笑いをしながら背を向けて行ってしまった。

……ていうかこの状況非常に気まずいんですけど。

さっきあんなこと言って飛び出して来たのに…

「……ていうか何で来たの？」

「なんとなく」

「理由になってないし」

「じゃあお前のこと気になったからってことで」

「……あんた人の話聞いてたの？」

「もちろん」

「じゃあ何で…」

「お前どんだけお節介してんの？人の好み勝手に否定しないで」

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"お前は好かれてればいいの"

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