【◇】俺はお前が好きだから (ページ32)

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想い31 ページ32

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「……わかんなかった」

まくし立てるようにわんわん言った私に

落ち着いて言い放った成宮。

「誰か、俺じゃない誰かのことがお前は好きってことはわかったけどそれが誰かなんてわかんなかったから

どうすればいいのかずっと悩んでた」

少し言いにくそうに

だけど真剣に言葉を選んで話している。

「でもその相手が一也ってわかって、

すとんって何かとれた気がしたんだよ。

一也に勝つとか勝たないとかそーゆーの無しで安心した」

「…………意味わかんないよ」

好きな人に他に好きな人がいてなんで安心するのよ。

私は安心なんて出来なかった。

安心どころか悲しみしか芽生えてこなかった。

……裏切られたって。

「だって、そいつを超えればいいだけの話じゃん。

得体の知れないもの抜かそうともがくよりずっと楽。」

……成宮、あんた本当凄いよ。

いつも中心にいて

いつも皆とふざけてて

何にも考えてないと思ってた。

毎日楽しんでて気楽に生きてて良いななんて思ったりもした。

だけど違った。

私と同じように考えて考えて

凄く悩んでたんだ。

それなのに私はムカついて八つ当たりばっかりしてた。

さっきだってメールが来てムカついてた後に成宮が現れて

当たってしまっただけだった。

成宮は何にも悪くない。

「……ごめんね成宮。

私成宮のことちゃんと見れてなかった。

ちゃんとわかってなかった。

だから八つ当たりばっかしてた。

……こんな子好きになっちゃダメだよ、成宮」

部室を飛び出して駆け抜ける。

後ろから追いかけてくる気配は無い。

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私は成宮とは釣り合わない。

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