想い23 ページ24
・
「…」
なんで
「A〜！」
なんで
「久しぶり」
なんで私に気づいちゃったの。
・
・
「久しぶりだね」
不自然な作り笑顔で答える。
「ほんと！ていうか何でメール送れなくなっちゃったの！？」
「あーちょっと携帯の調子悪くて」
「あっ！そうだったんだ！良かった！！私Aに嫌われたと思ってめっちゃ心配だったんだよ！？」
「そんなわけないでしょー！？」
私は嘘をつく。
本当はあなたのこと凄く嫌い。
……凄く羨ましい。
可愛くて、優しくて、非の打ち所がない悠里のことが。
何もかも手に入れられる悠里のことが。
「こいつ、毎日俺に『A大丈夫かな？私Aになんかしちゃったかな？』って言ってきて鬱陶しいから早く直してよ」
笑いながら言う御幸くんは満更でもなく嬉しそう。
「そうだね」
うるさい心臓。早く鎮まれ私の心。
これは私に向けられた笑顔じゃない。
「ちょっと一也酷くない！？鬱陶しいって何！？」
「そのまんま」
「はぁっ！？一也だって私以外連絡する相手いないから暇でしょ！！」
「その気になればいくらでも出来るけど？」
ぷくーっと頬を膨らませて怒る悠里と余裕顔の御幸くん。
私は一人取り残された気分だった。
離れたいけど、急にどっかに行ったら不自然だしおかしいから
一応笑っておいた。
本当は泣きたい。
わんわん泣きたい。
悠里のばか。
見せつけないでよ。
急に湧いてきた怒りと悲しみ。
それにさらに追い討ちをかけるように悠里が口を開いた。
「A？どうしたの？」
は？って思った。
何とぼけてんの？
わかってるんでしょ？
八つ当たりなんてわかってる。
だけど誰かを責めずにはいられなかった。
「ごめん…！！なんか私たちだけ盛り上がっ…」
「そんなこと言ってんじゃないよ！！
だいたい悠里は…」
「西村、行くよ」
勢いに乗ってしまった私を止めてくれたのは
成宮だった。
そのまま私の腕を掴んで悠里達に背を向け歩き出した。
「一也。ちゃんと他の人のことも考えて行動してよ」
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作者名：アクアブルー | 作成日時：2016年4月10日 17時
