東卍の白豹

47話:家族4 ページ48

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イザナは雪の口から語られた
“血の繋がった家族”の酷い話に頭の中がグチャグチャになった

血の繋がりに執着していた筈なのに
揺らぎそうになっているのを感じる




イザナ「...もう、わかんねぇよ
どうして、こんなに苦しいっ
お前らに会わなきゃ、こんな思いもしなかったのか...？」

真一郎「そんな悲しい事言うなよ...」



イザナ「真一郎...お前らの言い分はわかった
けどオレはもう戻れねぇよ」

真一郎「黒龍のことか？オレは気にしてねぇよ」

イザナ「...」





イザナは、悲しそうな顔で笑った



イザナ「これはオレの意地だ
止めるなよ、真一郎
もう、ダセェ所見せられねぇんだ」


そして雪を見ると
“いずれ迎えに来るから、それまで名を上げとけ”
そう言って踵を返すと、この場から離れていった






弟の姿が見えなくなるまでその方向を見ていた真一郎は
腕の中にいる雪を見た

いつになく、弱々しく見えた




雪の家庭事情を聞いて思った


ワカが雪に過保護になるのも仕方ないと

ワカが言っていた「雪があまり我儘を言ってくれない」と
きっと困らせたくなくて聞き分けのいい妹であろうと
頑張ってたんだろう
よく思えば、万次郎やエマの様な“子供らしさ”を
あまり見た記憶がなかった





『...ごめん、真一郎君』

真一郎「どうして雪が謝るんだ？」

『真一郎君達がいて孤独だって決めつけるイザナが
私はっ、許せなかった』


真一郎「...ありがとな」

『え？』


真一郎「オレ達のこと考えて怒ってくれたんだろ？
痛かったろ...泣いていいぞ」

『は...？泣くなんて何ガキみたいなこと...ｯ
甘やかさないで』

真一郎「ふぅん？じゃあ勝手に甘やかすワ」

『！？』





真一郎は雪を抱き上げてそのまま歩き出した
急に持ち上げられて、落ちないように雪は咄嗟に
真一郎の首に腕を回した



真一郎「取り敢えずオレの店行くか！
はは、雪重くなったな」

『...このデリカシー無し男め』

真一郎「ごめん、大きくなったなって意味だよ
重いなんて思ってねぇよ、寧ろ軽すぎだし細すぎだろ」

『...っ』



本当にこの男はズルい
雪は照れて赤くなった顔を隠すように
真一郎の首元に顔を埋める

恥ずかしい、けど＿＿＿






『真一郎君の腕の中、あったかいから落ち着く』

真一郎「...！！ったく、お前なぁ」




この言葉に、真一郎が少し顔を赤くしていたのを
雪は知らない

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