東卍の白豹

1話:憧れとの出会い ページ2

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これは、“泣き虫のヒーロー”が現れる前


今牛雪が、その身を削り
零れ落ちた“幸せ”を救っていく話







1996年

当時8歳になったばかりの頃だった



日も落ちて夜になった時間
寒くないように上着を着せられてから
大好きな兄のバイクに乗せてもらって
ある場所へ向かう

兄は不良の中でもダントツでカッコよくて強く
雪にとって自慢の兄だった
そんな兄に憧れ、不良に興味を持ち始めて
ワガママを行って集会に連れて行って貰ったりしていた



目的の場所に着くと
兄は私をバイクから下ろすと抱っこしながら歩き出す




目的の場所____それは黒龍の集会の場だった

幼い女の子を抱きながら登場した特攻隊隊長に
視線が集まる





『ねェ、お兄ちゃん
ほんとに連れてってくれるんだよね？』

若狭「ん、連れて行くって約束したろ？
ってかこの話何回目だ？つーかもう着いたし」

『えへへっ、ありがとう！
お兄ちゃん大好き！』

若狭(今日もオレの妹が可愛い)




実はこの兄妹、お互いにシスコンでブラコンだった

ちなみに、煌道連合のメンバーだった人は
「あぁ、またか」というような目で見ていた





初めて来た場所、大勢の不良に興味津々で辺りを見渡す
雪は抱っこされて自由に動けないのが
嫌になって言う



『ねぇ、お兄ちゃん？私歩けるよ？下ろして』

若狭「だーめ、危ないから」

『危なくないもん！』

若狭「危ないの、怖ーい男ばっかだかんな」

『それ前のチームの時に何回も聞いた！』

若狭「それにすぐ迷子になるしな」

『うっ...そんなこと、ないもん』

若狭「この前買い物行ったら
オレから離れて迷子になって泣いてたのは誰だっけな〜？」

『...いじわる、お兄ちゃん嫌いっ！』

若狭「...」





“お兄ちゃん嫌い！”の一言にピシッと固まったワカ

それを見ていた隊員達は
「あの白豹でさえ妹の“お兄ちゃん嫌い”には
大ダメージ受けるんだな」と思いながら見ていた


するとそこに近付く大柄な男が1人






「なんだ？相変わらずまたやってんのか！」

『あ、ベンケイ君！』



かつては兄と対立していたチームの総長だった荒師慶三

今の新しいチームになってから
会わせてもらったことがある





ベンケイの方に両手を伸ばすと
その意図を汲んだのか雪をワカの腕の中から奪う


ベンケイも雪を実の妹の様に可愛がっていて
雪の頭をその大きな手でぐしゃぐしゃと撫でる

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