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『もとや、おみ!今日お母さんが迎えに来てくれるから、一緒に帰れないや』
午後5時の小学校の体育館。バレーボールが飛び交う中で、ふと思い出して振り向く。
「あ、なんだっけ、とうやさんのお祝いするんだっけ?」
『うん!』
鈴鳴冬弥。俺のお兄ちゃん。高校でバレーボールをしている。
3日前の水曜日はお兄ちゃんの誕生日だった。平日でお祝いができなかったから、土曜日にすることになったのだ。
『いつも忙しいけど、今日は早く帰るっていってたんだ!』
お母さんの帰りはいつも9時近く。だから、今日が楽しみで仕方なかった。
「冬弥さん、この間の大会でも活躍してた」
『うん。 あ、そういえばおみが上手って、褒めてた!回転がすごいって』
手首がこう、ぎゅんってしてるんでしょ?といえば、おみはちょっと嬉しそうにそっか、とつぶやく。
『嬉しいならそういえばいいのに』
「…うるさい」
「否定はしないんだ!」
「…!う、うるさいっ!」
一瞬顔がしまったと言っていたぞ。照れなくてもいいのに。
午後6時。
5時過ぎには来ると言っていたのに、お母さんはまだ来ない。
「…Aのお母さん、まだ来ないの?」
おみが時計を見て言った。
「なんかあったのかなぁ…」
『…たぶん、しごとが終わってないのか、お兄ちゃんの部活が長びいてるんだと思う』
そうであってほしい。この日は東京にしては珍しく、ひどく気温が下がっていた。
さっきからちらほらと雪が降っている。
不安になった。もしかして何かあったんじゃないか。
『っおれ、先生に聞いてくる…』
「鈴鳴さんっ!!」
急に心配になって職員室まで行こうと思ったとき、先生がおれの名前を呼んで入ってきた。
「…鈴鳴さん、あなたのお母さんとお兄さんが事故に会いました。先生が車を出すので、病院にすぐ行きましょう」
…え、?
言った意味がわからなかった。
じわじわと理解が広がると、同時に恐怖感が生まれた。
事故?なんで?
無事なのか、どれぐらいひどいのか。
ぐるぐると考えているといつのまにか先生に手を引かれて、おみたちが用意してくれた荷物を持って、先生の車に乗り込んでいた。
運転する先生の顔はこわばって、口をきゅっと結んでいた。
病院に付けば、今年のお正月にあったばかりのおじいちゃんとおばあちゃんの姿があった。
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一日何度も更新してすみません
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あなくま(プロフ) - あっびーさん» ありがとうございます!気まぐれ更新ではありますが頑張ります!澤村さん直してきますすみません (7月3日 6時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
あっびー - コメン卜失礼します!話とてもおもしろかったです!がんばってください!あと澤村が沢村になっていました (7月2日 15時) (レス) @page5 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
あなくま(プロフ) - 怜央さん» ほんとですね…教えていただきありがとうございます!実は前にも消えちゃってたのでまた同じようなことがあるかもしれません…気をつけます! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
怜央(プロフ) - コメント失礼します!36話が消えちゃってますよ〜! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 8acdf4d0f3 (このIDを非表示/違反報告)
あなくま(プロフ) - ありがとうございます!できるだけ早く更新できるように頑張ります! (2022年10月13日 16時) (レス) id: 995ed5925a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あなくま | 作成日時:2022年9月24日 14時