Finally I.【東京喰種】 (ページ10)

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7.美食ページ10

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沙絢が気配を感じ取って数分、あの鈴の音がもう一度鼓膜を揺らせた。
派手なスーツを身に纏い、大きく深呼吸した人。
誰が見ても分かる、彼が"変人"だということ。
怖気ずいたのか、沙絢は私の服をより強く掴み、離さなくなった。

「やはりここは、落ち着くね。」

月山習、美食家(グルメ)と呼ばれる20区の厄介者だ。
訳の分からないフランス語や英語を好んで使う、所謂"変人変態"。
そういえば、付き人さんはドイツ語使うんだっけ。

「月山…。」

『……な、沙絢。
お前の姉貴の名前何？』

「……董香。」

董香ね、了解。
その董香が嫌そうな口調で相手の名を呼んだ。
そんなのに耳を貸さず、月山の目線は眼帯へ向けられる。

「眼帯の彼。」

新入りだね、なんてキザく言いながらも近づくもんだから物凄く警戒されている。
名前は？とか尋ねながら眼帯の周りをうろちょろ。
見てるこっちがイラつく。

「か、金木です…。」

少し怯えながらも、眼帯…基、金木が答えた。

へぇ…金木って言うんだ。
ひ弱な男、食っても不味そう。
もう少し筋肉とかつけば別の話だけど。

月山はどうやら金木のことを気に入ったらしい。
董香に追い出される背中を少し見ると、何やら企んでいそうに感じた。

『…何がしたかったんだ、あいつは。』

「さぁね。
さて、話も戻しましょー。
眼帯くん、いや、金木くんでいいかな。」

「はぁ…。」

ため息のような返事をされ、美紅は少しムッとした。
金木は見た目高校生だ、いいとこ同い年くらい。
ましたや大学生なんてことは…

「何歳？」

「19、です。」

あった。

「うそー、私達よりも年上？
19…ってことは大学生か。」

これには美紅も拍子抜けしたらしい。
頬に"年齢詐称だろ"って文字が見え隠れしている。
私も驚いた。
まさか自分よりも2つ上だったなんて。

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意地悪なんて、ほんの一瞬だった。

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