�賢章� ページ13
「っ．．．」
ダンスのレッスン中。曲の途中のステップで、Aのステップが乱れる。その様子に泉がため息をつく。
「ストップ」
泉がパンパンっ、と手を叩き、曲を止めた。Aはふらりと右膝をつく。
「．．．ちよくんさぁ．．．。ステップ、もう5回も間違えてるんだけど？ 」
「っ、ごめん」
「ちよくんが間違えてるから、皆やり直しなんだよ。．．．やる気ないなら帰れば？」
その言葉に、俯きながら首を振るAを見て、凛月は心が締め付けられるようだった。
＿＿泉だって、間違えたことは言っていない。Aがミスを連発しているのは事実だし、甘やかしては成長できない。
ただ、タイミングが悪かった。英智に精神を壊しかけられたAに、泉の言葉は重すぎた。
そこで、レオがAにタオルを渡す。
「とにかく、お前はどっかで休憩してこい」
「で、でも．．．！」
「続けても、ミスするだけだ。」
Aの頭をぽんぽんと撫でて、出ていくように促す。
「ちーちゃん．．．」
凛月が声をかけると、濁ったガラス玉のような瞳をむけて笑った。
凛月の脳裏に数日前の保健室での出来ごとがよみがえる。
＿＿「．．．たす、．．けて」
Aが、自分だけに発したsos。
「．．．大丈夫かしら、Aちゃん」
嵐が心配そうにレッスンルームのドアを見る。
レオはなにも言わなかった。
「セッちゃんさぁ．．．」
凛月が非難めいた声を出すと、泉ははあ、とまたため息をついた。
「くまくんみたいに甘やかすだけじゃダメなの。あの子は「Ｋnights」の希望なんだからねぇ」
凛月が求めていた答えはそう言うことではないのだ。けれど、保健室の出来ごとは誰にも話していないので泉に伝わらないのは当然だ。
「ほらほら、レッスン続けるよ」
そう泉が全体に向けて声をかけると、メンバーたちが定位置につきはじめる。凛月はその中で呟いた。
「助けなきゃ．．．」
がんばり屋さんの騎士が壊れてしまう前に。
だって、あのか弱い声が届いたのは、自分だけなのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緋色有栖(プロフ) - キルさん» ありがとうございます！ 作者自身もこれから何度も転校生さんと千代田くんを絡ませようと思っています。もうすぐ絡むと思います．．．、たぶん (2016年5月17日 17時) (
レス) id: 224a077759 (このIDを非表示/違反報告)
キル(プロフ) - 読んでいて胸がキュッってなりました。いいお話です！！楽しみにしてますね！！あと、転校生との絡みがとても好きです！！ (2016年5月17日 2時) (レス) id: c2f3e515f3 (このIDを非表示/違反報告)
緋色有栖(プロフ) - 碧汰さん» ありがとうございます！ そう言ってもらえると、とてもうれしいです。 (2016年5月15日 16時) (レス) id: 224a077759 (このIDを非表示/違反報告)
碧汰 - とても読んでて心が惹かれます 更新頑張ってください(b･ω･)b (2016年5月15日 10時) (レス) id: 3a06329ecc (このIDを非表示/違反報告)
緋色有栖(プロフ) - 瑞稀@刀剣乱舞(・∀・)さん» うわああ、ありがとうございます！ 英智さんとの話はわりとシリアスなので．．．。重い話ですが、読み続けていただけたらうれしいです♪ (2016年4月26日 18時) (レス) id: 224a077759 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
