♀/社会人/not恋愛 ページ9
目が覚めたらそこは"ワンダーランド"でした。
なんんて非現実なことがあるハズもなく。
自室の天井を見つめる。畜生、夢くらい見させろ。
けたたましく電話の着信を知らせる携帯を手に、起きる。
つい、と見た時計は早朝４時を指している。
盛大な舌打ちをし、苛つきながら電話に出る。
「Aくん？」
仕事での上司だった。
ところで、教えたことのない電話番号を何故知っている。
「朝早くから申し訳ないんだけど、今日出勤してくれない？」
本当に申し訳ないんだろうけど、
私にだって譲れないものがあるのだ。
「私の今日の非番はどうなるんですか」
「今月中のどこかに当てて」
「今月は明後日で修了ですけど」
舌打ちや怒鳴りたい気持ちを抑える。
どうしても毒を吐いてしまうが仕方ない。
部下としていかがな態度、と思うだろが、
私はこの貴重な非番が消えるのは嫌なのだ。
よって、この姿勢を貫く。なんとしても貫く。
「あ。え、っとじゃあ」
電話越しに慌てだした上司を無視し、
畳み掛けるように言葉を紡ぐ。
「とりあえず、私とて今日の予定があるんです。
なので今日の出勤は私には無理です」
上司は私がいつも頷くだけの部下だと思っていたらしい。
息を呑む声が聞こえるや否や、速攻で電話をきった。
上司に電話番号を知られたとなれば、
番号の変更を検討しなければならないな。
それはともかく、
既に１日８時間以上の労働で疲れているのだ。
その上、残業代は出ないと、がっつり黒い会社なのだが、
就職氷河期のに突入したこの御時世。
この仕事を手放すとどうなるのか、目に見えている。
世の中は無常だ。
「……」
もう一度寝よう。
そう決め、携帯をどこかへ投げた。
疲れきっていたのか、直ぐやって来た睡魔に身を委ねた。
＿＿現実とはこういうもの
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作者名：秋花火 | 作成日時：2015年12月3日 20時
