♀/ほのぼの系/ほっこり(?) ページ11
白く大きなキャンパスを赤に、黒に染めていく。
青を走らせ、黄を入れて、白を少し加えて。
自分の思いを目の前に描きだしす。
そこに失敗なんてなく、はみ出しすらも絵の一部に変えていく。
誰にも口を出されず、邪魔をされず、文句を言われない。
一人の空間で、思うままにキャンパスを彩る。
気づけば外は茜色。
夜の帳は落ち始めており、空が暗くなる。
「夜か…」
さすがに外が暗くなれば、一人の時間が怖くなる。
寂しいし、誰かと一緒にいたい。
「まだ残ってたのかよ」
そちらを見やれば、
友人であり、良き理解者に位置するアイツがいた。
「私の勝手。いつ、どこで、なにしようと」
確かにな。
とアイツは失笑した。
それを確認するかしないかで私は道具を片付ける。
アイツが来たということは帰る合図だから。
「今回は何描いてたんだ？」
つか、完成した？
矢次早にされる質問を軽く無視する。
いつものことだから今更といえば今更だ。
「そういやまた、告白されたんだって？」
「そうだね。告白されてたよ？私の前で」
「は？」
「私の、目の前で、友人が、告白されてたよ」
そこまでいえば、「ぶはっ」と吹き出し笑い始める。
ひどい奴だ。そこまで笑うこともないだろうに。
「むなしいな」
大笑いしながら言われても苛立つだけだ。
本当、腹立たしい。
「うっさい」
「ゴメンゴメン。じゃ、帰ろーぜ」
好きとか、嫌いとか、
恋人とか親友だとか、
そんな関係とは少し違う私たちは、
どちらからとは言えずに手を繋いだ。
____この関係をもう少し
2017/8/19-誤字訂正と加筆修正
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作者名：秋花火 | 作成日時：2015年12月3日 20時
