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102話 ページ6

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……ことは無かった。



「ぐあ゙…………!?」

「!?」



数糎まで来ていた男の醜い顔が苦痛に歪み、床へと身体を崩した。


高そうなスーツの背広には銀色のナイフが刺さり、そこを中心に紅がジワジワと拡がっていた。



「すみません、ぼくの宝物が奪われそうになっていたものですから」

「……………!」

「お、おまえは!!」



カツカツと革靴の音が心地よく鳴る。

ナイフが投げられた方向に佇んで居たのは彼女と瓜二つの顔をした青年。すみませんと云う台詞を吐く割には悪びれは無いような態度。



「フェーヂャ……!!」

「ええ、貴女のフェーヂャですよ。A」



薬の所為で力が抜け、フラ付きながら近寄る妹を兄は優しく抱き締めた。



「怖かったでしょう、もう大丈夫ですよ」



フョードルは赤子を宥めるように彼女の背中を摩り、心底愛おしそうに見詰めた。

その眼差しは妹を見る目では無く、1人の《愛する女性》としてだった。



「ど、どうして此処へ.……ッ」

「街の至る所に鼠は潜んでいるものです。企業秘密ですよ」



口元に人差し指を近付け、秘密のポーズをしているフョードルだったが、男へ向ける眼差しは妹とは打って変わって絶対零度。養豚場の豚を見る目……いや、それ以下。風呂場の排水溝に詰まった髪を見るような目だ。

そこには確かな《殺意》が孕んでいる。



「A」



彼女の髪を撫で、兄は妹の目線に屈んだ。



「…はい、フェーヂャ」

「ぼくは今からお掃除(・・・)を始めます。なので任務の方をお願い出来ますか?」

「ええ、喜んで」

「流石はAです。ではお願いしますね」



額に口付けを落とし、フョードルは床に転がっている男に目を向けた。


此処はフェーヂャのお掃除(・・・)が始まってしまう。
違う部屋から機密情報の入った電子機器を探そう。


Aは兄と男に背を向け、薄暗い部屋を出た。


兄に頼られている、それ以上に嬉しいことは無い。
早く見付け出してフェーヂャに褒めてもらおう。

煌びやかに光るドレスの裾が明るい照明に照らされ、大理石の床に反射した。

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瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時

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