101話 ページ5
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やたら長く、照明が無駄にギラギラとした廊下を抜けた先にその部屋はあった。
金色の主張が激しいルームカードキーを懐から取り出してドアへ差し込むと、自動で扉は開いた。
手を繋がれたまま強引にも部屋へと入ってゆく。
内装は例えるならば " 悪趣味な富豪の部屋 " と云ったところか。壁には鹿や熊の首が並び、床一面大理石。天井にはあちこちにゴツいシャンデリアが吊り下げられている。
居るだけで目がチカチカする空間だ。
男は1つのドアの前で歩みを止め、センサー認識でまたもや扉は自動で開かれた。
「さ、此処だよ。中に入ってみてくれ」
手をパッと離され、暗い部屋の中に入るように指示される。
もしかしたらこの部屋の中に機密情報があるのかもしれない。
そんな期待と " 珍しいコレクション " が興味を引いてAは素直に応じた。
カツンカツンとヒールの音が鳴る。
薄暗い部屋の中を見渡すと、ぼんやりと光るした円柱形の物がちらほらと見える。
近付いて見てみると、2つの丸い球体が浮いているように見えた。
「…………ッ、これ、は……」
白い球体、中心には蒼い
人の眼球だ。
それもこれだけでは無い。
周囲の円柱のケースは茶、黒、紅、翠、蒼、黄、灰と、凡て違った眼球が浮いていた。
「綺麗だろう?」
肩に手が置かれ、生暖かい吐息が頬を掠めたことに気が付く。男の片手はAの華奢な腰へと回っている。
嫌だ、気持ち悪い、触らないで。
激しい厭わしさと耐え難い嫌悪感が体を支配するのが分かった。涙が滲み、呼吸が不規則なものになってくる。
「気に入ってくれたのかい?そんなに見つめちゃって。いやぁ、良かったよ」
何か、何か言わなければ。
言葉を発そうとするも口からは言葉にならない情けない悲鳴と呼吸しか出ず、抵抗しようとするも身体に力が入らない。
食事に何か盛ったのかと睨み付けるも、男には無意味だ。
「おお怖い怖い。所で、君のその紫色の瞳も美しい。瞳だけじゃない。君の容姿凡てが月のようだ」
「あぁ、怯えないでくれ。君もコレクション加えたい訳じゃないんだ」
「ただ、少し私に体を委ねてくれないか?」
彼女より一回り大きい、脂汗が滾る顔が近付く。
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瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時