【ツイステ × 文スト】魔人の双子の妹は異世界へ飛ばされたようです《3》

Normal END ~Fin~ ページ34

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「…………とまぁ、そんなこともありましたね」

「ええ。あの頃のぼくは些か脂茶(ヤンチャ)していたものです」



時は一年飛んで、今日は私達の卒業式の日。

春の麗らかな日差しが学園中に降り注ぎ、空き教室の窓から外を見れば桃色の花弁が舞っている。

蕾が付き始めた頃は、此の世界にも美しい日本の桜が有るのかと感心した。



あの事件の後、フェーヂャは何だかんだ此の世界に馴染んでいった様に見えた。

イデアくんやアズールくんとボードゲームをして楽しんでいたり、魔法薬学で作った摩訶不思議な魔法薬を一緒に飲んだり、飛行術の時間に来たらバルガスさんに箒を押し付けられていたり、なんでもないパーティーに参加したり、ツノ太郎さんと夜散歩をしたり。


思い出すだけでも数々の出来事が巡った。


ゴーゴリくんやゴンチャロフも佳く訪ねて来て、今では此の学園中の生徒の顔見知りになっている。


私以外に向けていた冷たい表情も今では毒が抜けた様で、極稀に綻んだ笑顔を見せる様になった。



「……ふふっ」

「…どうかしました？」

「いえ、昔を思い出しただけですよ」

「そうですか。今後はどうするのですか？」



今後。ナイトレイヴンカレッジを卒業した後の話だ。

佳く聞く話では、大手企業に抜粋されたり、魔法専門の大学院へ進んだりと、名門魔法士養成学校の生徒達は忙しそうだ。


だが。



「私はフェーヂャの秘書に務めます」

「！」



『此の世界で働かなくて佳いのですか？』
フェーヂャの目はそう言いたげに見詰めていた。


「確かにそうしてみたいものですが、私は魔力が微量にしか有りませんから。就職するにしても、大学院に行くにしても、余り不利なものかと思いまして。潮時ですよ」



ですが遊びには出向きますからね。と慌てて付け足すと、フェーヂャはクスクスと笑い出した。



「だ、駄目でしたか？」

「いいえ、大歓迎ですよ。之から非常に楽しみです。才色兼備な上に魔法士の秘書なのですから」



互いに微笑むと、校舎内には送別を伝える鐘の音が鳴り響いた。空も紅く色付き始めている。



「A、帰りましょうか」

「ええ」



差し出された手を取り、私とフェーヂャは鏡の間へと歩き始めた。

握られた手はとても暖かい。

私達はゴンチャロフとゴーゴリくんが卒業パーティーを開いてるであろう自宅へと向かった。



嗚呼、どうか。

此の世界に神からの永遠の祝福が続きますように。




Normal END Fin

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