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フェーヂャに抱かれたまま私達の屋敷へと足を踏み入れると、あの世界に行く前と何ら変わらない景色が広がっていた。


ゴンチャロフが優しく出迎えてくれて、異空間から上半身だけを出したゴーゴリくんが私たちを驚かせる。



「お久し振りにございます、妹様。お元気そうで何よりです」

「ええ、会えて嬉しいですよ。ゴンチャロフ」

「身に余る光栄です」



フェーヂャは笑みを絶やさぬまま、私の部屋へ直行した。

部屋の中も埃一つ無く、本当にあの世界のことが夢だったのではないかと錯覚する程だ。



私はそのままベッドに下ろされ、フェーヂャも傍にあった椅子に腰掛けた。



「…フェーヂャ、異世界の異能者は今何処へ?」

「あの男は以前と同じ場所にいらっしゃいますよ」

「行ってきても宜しいですか?」

「ええ。構いません」



フェーヂャから許可が降りた。

昂る気持ちを抑えながら、私は屋敷から外へと抜けた。


あの裏路地の場所は覚えている。
歩みを少し早め、あの薄暗い路地へと向かう。



歩きながら、ふと疑問に思うことがあった。


何故フェーヂャは私を止めなかったのか。
あの世界に行かせたくないならば、どんな手を使っても止める筈だ。



………そんな疑問は、予想にもしなかった展開で答えを告げたのだが。



「………。」



裏路地には誰も居なかった。

見渡しても数分程佇んでも、あの日のように男が現れることは無かった。



路地裏を彷徨いていると、足元にカサリと紙が擦れたような音がする。



「……………ぁ」



その場にあったのは、数束の花束だった。

花束だけじゃない。お茶が入ったペットボトルや、煙草、スナック菓子等も落ちている。



いや。これは落ちていると云うよりも、《供えられている(・・・・・・・)》と表現した方が正しいのかもしれない。


2、3歩後ろへ退くと、足元の地面には酸化して茶色くなった染みが薄くこびり付いているのに気が付いた。


先程のフェーヂャの言葉が脳内を木霊する。



『あの男は以前と同じ場所にいらっしゃいますよ』



あの発言は、真逆。


ヒュッと息が喉から漏れた音がした。
フェーヂャが大人しく行かせてくれる筈が無かったのだ。



………帰ろう。



多少フラつく脚を奮い立たせ、私は踵を返した。

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瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時

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