113話 ページ17
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「ぺんぎんちゃ!」
「Aしゃん、ぼくにもおねがいしましゅ」
「フフフッ」
ほっぺはモチモチ。私の指程の小さい手。
無邪気な笑顔をした彼等は差し出された指に抱き着き、長い尾鰭を螺旋状に手に巻きつけている。
これは本格的にウツボの稚魚を飼うことをフェーヂャに相談しなくては。
「それで、なのですが……対価は勿論払います、元に戻るまでこの稚魚2匹を引き取って頂けませんか?貴女が相手なら大人しくしていると思いますし…」
「ええ、喜んで」
「まぁそうですよね、そんな都合良く………何ですって?」
「彼等のお世話、私に任せてください」
パチクリと瞬きを数回。真逆私が断ると予想していたのだろうか。
「今にも倒れそうな人の頼みは断れませんよ。私のなけなしの良心が傷んでしまいます」
「その言葉、貴女のお兄さんにもよく言ってやってください…………」
「それに、こんなに可愛らしい子達をお世話出来るなんて楽しみですから」
アズールくんを見据えながら、稚魚達の頬を撫でる。
彼等も目を細めて私の指に戯れている姿に、自然と私の頬も綻んだ。
「すっかりメロメロじゃないっすかヤダ〜…」
「アイツらがあざとくて助かりました」
「アズールくん、彼等は何を食べますか?」
「ええと、魚介類を適当に与えれば食べます。それは僕が調達しますので、ご心配無く」
「てかA氏指噛まれてますぞ!?大丈夫!?」
「甘噛みなので痛くありませんよ」
視線を指に向けると、人差し指がフロイドくんの口の中に入っていた。
効果音を付けるならば がぶがぶ、と云うより あむあむ の方が正しいだろう。偶に歯が当たって擽ったい。
「僕の時は噛みちぎろうとしてた癖に………」
「マ?…うわぁやっばぁ……」
アズールくんが腕を捲ると、雪のように白かった腕は噛み跡だらけですっかり赤くなってしまっている。かなり痛々しい。
「アズールくん、大丈夫ですか?」
「ええ。そのまま食べられるよりはマシですから………て、もうこんな時間ですか。僕はもうラウンジの方に行きますので」
「ん、
お疲れ様でした、と一礼するとアズールくんはフラつく足で帰って行った。心配だ。
私達も帰ろうかと水槽を持つと、イデアくんが「重いから僕が持つよ」と言って代わりに持ってくれた。
「
「ウッッ……その笑顔SSRスチル…」
「?」
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瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時