61話 ページ13
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きっかけは、些細なことだった。
3年B組は魔法薬学の授業の時間。
私は実験室にて禍々しい色をした大鍋を掻き混ぜていた。
「次に、マンドラゴラの粉末。……じゃあ、僕取ってくるから混ぜててね」
「お願いします」
ペアであるイデアくんが席を外し、その場を離れる。
「うわっ!?この虫生きてるんですけど!?」
後ろのクラスメートが悲鳴のような声を上げ、驚いて飛び退いた為に私にぶつかった。
「わっ」
大鍋の真上へと身体が乗り出した瞬間、大鍋が爆発。
紫色の煙に覆われた。
幸いゴーグルを付けていたから目は無事だったが、何処か違和感を感じる。
咄嗟に瞑った瞳を開けると、心配そうに此方を見つめるクラスメートとイデアくん。
「ご、ごめん、Aさん!!」
「A氏、大丈夫…、て、え………???」
「大丈夫で………!?」
声が低い。視界も少し高くなった気がする。
しかもこの声は紛れもない、フェーヂャの声。
「ステイ、何があった」
「あ、う、な、A氏が………男体化しました……………」
男体化。
反射で身体を見ると下半身に違和感は感じられないが、確かに胸は無くなっている。
「ドストエフスカヤは一度医務室へ行け。今は大丈夫だろうが、後に体調にも影響を及ぼす可能性がある」
「わかりました」
「Good girlだ。シュラウド、付き添ってやれ」
クルーウェルさんからそう言われ、私は医務室へとやって来た。医務の先生は今日は不在らしい。
室内の全身鏡を見ると、私はフェーヂャの体格に近くなっている。鏡に移る私はフェーヂャを見ているようだ。
「…た、多分、A氏が浴びた煙は男体化するやつ………だと思うんだ」
「ああ、だからフェーヂャに……」
「うわイケボ………。お兄さん、こんな感じなんだね…」
私が笑う顔も、発する声も、凡てがフェーヂャそのままだ。きっとゴンチャロフだって間違えるだろう。
「あの生徒には少し感謝します」
「……………何で?」
「自分とは云え、兄に会えたのですから」
「…そっか。体調は平気そう?」
「ええ。逆に良くなったような気がします」
そうだ、異能はどうなっただろう。
『電子海』のままなのか、『罪と罰』になったか。
「イデアくん、ホログラムPCありますか?」
「え?あぁ、うん」
電子音と共に姿を現したホログラムPC。
それに私は触れる。
「『電子海』」
モニターは笑う鼠のマークを映し出した。
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アババババ - 80話の最後のフロイド君の発言で草生えました! (2022年11月19日 23時) (レス) @page32 id: 222bdc0355 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» 承認しました!こちらこそよろしくお願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - あ〜ちゃんさん.......私も好物なので有り難いです......!ぜひ御願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: fc34ad99ff (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - あ〜ちゃんさん» 柘榴です!よろしくお願いします! (2020年7月23日 18時) (レス) id: f20993b4a3 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» OKです!ありがとうございます!! (2020年7月23日 13時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年6月29日 0時