【小湊春市】隣 ページ10
今日の練習後、A先輩を引き連れた兄貴から声を掛けられ「春市、Aの面倒見てやってよ。」と押し付け……いや、頼まれてA先輩の自主練習に付き合うことになった。
「よーし、おっしまーい！有難う春っち！」
「此方こそ、いい練習になりました。有難うございました」
「ごめんね、遅くまで。いつもは亮介とやるんだけど見たいテレビあるとかなんとか…あれ絶対怖い話だよー」
「ははは。兄貴特番あると欠かさず見るんですよ。
それよりもこんな練習いつもやってるなんて凄いですね…」
夕飯を食べて19:30頃から練習を始めた。
まずは軽いランニングからストレッチ、体幹トレーニング、ダッシュを一時間ほどかけてやり
次に守備の練習。マンツーマンのノックを中心に近距離からのバウンドするボールの捕球、ライナーの捕球、そして送球練習をこれまた一時間ほど。
その後にバッティング練習。マシンの球を打ったり、ティーバッティングでとことん振り込んだ。
合計で三時間以上かけて練習をし、もう時刻は23時近くなっている。もちろん今日もみっちり部活をやった後で、の話だ。
「流石に毎日はやらないけどね。ほら、普通にしてたら私皆より体力も力も無いし。これくらいやらないと……さ。
亮介も負けず嫌いだからねー、一緒にやってくれるようになったんだけど最初の頃はずっと文句を言い合いながらで大変だったんだから！」
あはは、と笑いながら話をしてくれるA先輩。
「凄いですね…兄貴も先輩も。」
「最強の二遊間目指してるからね！とか言ったら亮介にバカじゃないって怒られるけど」
練習中も度々でる兄貴の話題。一番近いポジションで、３年間クラスもずっと一緒となれば仲が良いのは当たり前かもしれないが。
「……僕も、目指していいですか」
「え？」
「なんか、兄貴と先輩見てたら羨ましくなっちゃいました。
僕も先輩と最強の二遊間、目指したいです。
それとも、やっぱり先輩は兄貴じゃないと嫌ですか？」
僕の目標は兄貴を超えること。兄貴に認めて貰うこと。
でも誰よりも兄貴を認め、そして兄貴も認めるA先輩にも認められたい。この時からそう思うようになった。
「……そうだねー、むしろ春っちと最強の二遊間組んで亮介にあっと言わせてやりたい気もする。」
「はは、それ良いですね。」
いつか、Aさんの隣に立てたらいいな、いや立ちたい。そう思った。
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作者名：げび | 作成日時：2016年7月15日 22時
