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夢の続きを追いかけて9 ページ48

【マリッジブルー】



「もしもし、亮介?今大丈夫?」


プロポーズをされた次の日から一也は遠征で家を留守にしている。その間一人になった私は色々と考えてしまって溜まったモヤモヤを晴らすべく、大親友(と言ったら彼は腐れ縁だと否定するけれど)である亮介に電話をする。


「今彼女が来てるんだよね」


「嘘つき、純の声がした」


そう言うと小さく笑って、「純が『女か?』ってうるさいからスピーカーにしていい?」と聞いてくるので私も笑って了承する。二人とも大学を出て都内で社会人野球を続けていて今でもこうして時々会って仲良くしているらしい。


「…で、何?」


「実はですね、一也にプロポーズをされまして……」


そう言うと少し遠くから「まじかよ!ついに!!」と
純の興奮した声と「おめでとう」と言ってくれる亮介の声が耳に届く。


「ただ、本当に結婚していいのかなぁと思って」


「……は?」


亮介と純の声がハモる。それを聞いて補足するように続ける。


「相手はプロ野球選手だよ?プロ野球選手の奥さんってみんな凄い人ばかりじゃん……。

自分の仕事も辞めて、相手を支えて……選手が活躍したら奥さんの内助の功だ、なんて讃えられて。

私は仕事も続けたいし、料理も……まあ昔よりは出来るようになったけど普通以下だし。

それに、家族になるってことはその内子供だって……でもお互いほとんど家に居ないのに育てられるのかなぁって。

それなら今のままでいいんじゃないかって思うんだよね」


そう思っていたことを全て吐き出して息を吐くと「馬鹿じゃねぇの?」「うん、馬鹿だね」なんて呆れた声が聞こえる。


「A、高校生の時はそんなちっせぇこと気にするようなやつじゃ無かっただろ」


「……大人になったってこと?」


「さぁ?とにかく俺らの知ってるAは周りがなんて言おうとこうと決めたらこう!って感じで突っ走ってたよな」


「うん、そうだった。Aらしくないよ」


「……私らしくない?」


「周りのプロ野球選手の奥さんがどうとか関係ないんじゃない。大事なのは自分がどうしたいかっていう気持ちでしょ。」


「それに、相談する相手間違ってんじゃね?今俺らに言ったこと、ちゃんと御幸と話せよ。どうするかは二人で決めることだろーが」


「そっか…そうだよね。有難う、純、亮介」


二人にお礼を言ってついでに近況報告を聞いて電話を切る。いつでも頼りになる仲間と話せて気持ちが軽くなった。

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作者名:げび | 作成日時:2016年7月15日 22時

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