夢の続きを追いかけて4 ページ43
【転機】
結局高島先生の誘いに乗って、青道でお世話になることになって半年ほど経った。
数学の教師として働きながら、未だ監督を続けている片岡監督の元で色々と学ばせてもらっている。
一也とは結局離れたまま過ごすことになったけれど、仕方がないと分かってくれたしお互いの頑張りを励みにして毎日を過ごしている。
「A、ちょっといいか」
「はい、どうされました?」
夏の予選、準々決勝で惜しくも敗退してしまい、新チームが指導するまでの休みの日。監督に呼ばれて行くと一枚の紙切れを渡される。
「明日の予定は?」
「特にないですけど……」
「それならその紙に書いてあるところにいる人物に会ってくるといい。何日か休んでいいから時間が合うようだったら御幸にも。」
渡された紙に目をやると福岡市内の住所と学校名、そして"鳥越大介"と書かれていた。
監督の話によると監督と同じ大学の先輩で今は福岡市内の私立校で野球部の監督をされているそう。
年齢のことも考えてそろそろ後を継いでくれるような人を探していて、監督が私の話をしたところ興味を持ってくれたという。
「監督……有難うございます。明日からいってきます」
「あぁ、気を付けてな」
監督に深々と頭を下げてお礼を言うと小さく笑ってそう言ってくれた。
私は家に帰るなり直ぐに飛行機とホテルの手配をして、荷造りをした。
「あ、一也にも連絡しとかないと」
とりあえずメールで「明日から少しの間福岡に行くことになったんだけど会える?」と用件だけの短い文章を送れば返信の代わりに電話が鳴った。
「もしもし?レスポンス早いね」
そう笑って電話に出ると「会える!つーか会いたい」とメールの返事からしてくれる一也。
それから漸く「何しに福岡に?」って聞く一也に簡単に経緯を説明した。
「その人に会ってみないといつ時間とれるかまだわからないんだけど、片岡監督にはゆっくりしてきて良いって言われたから」
「わかった。それじゃ、時間空いたらいつでも連絡して。朝でも夜でもいつでも会いに行くから」
「あはは、有難う。それじゃあまた」
「おう、おやすみ」
電話を切った私は明日に備えて早く寝床についた。
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作者名:げび | 作成日時:2016年7月15日 22時