【小湊兄弟】実家訪問 ページ32
ピンポーン
新年が明け、家族と実家でゆっくりとしていた時、ふいに家のインターホンが鳴った。
「春ちゃん、お母さん今手が離せないなら出てくれる？」
「うん、わかった」
家事をしている母さんに促されモニターを見る。
「はい……ってA先輩！？」
思わず驚きの声を出すとソファに座って本を読んでいた兄貴が此方を振り返る。
「お、その声は春っち！こんにちはー！Aですー。」
「あ、ちょっと待ってくださいね。兄貴、Aさん来てるけど……」
「聞こえてたよ。」
モニターを切って兄貴と二人揃って玄関のドアを開ける。
「あ！明けましておめでとうー！今年も宜しく！！」
白い息を吐きながら元気よく挨拶をする先輩。
「あ、おめでとうございます。今年も宜しくお願いします。」
彼女につられてペコリと頭を下げて挨拶をする僕の隣て兄貴が眉を寄せる。
「……なんで家知ってんの？」
「あらやだ、毎年年賀状送ってるじゃん♡暇だから挨拶しに来ちゃった。あ、これお土産ー！落花生パイ！」
「なんだ、ストーカーかと思った。」
「わざわざ有難う御座います。」
お土産だと言って差し出してくれる紙袋を受け取ってお礼を言うと
「春ちゃん、亮ちゃんお知り合い？」
「あ、母さん…兄貴と同級生で野球部のA先輩だよ」
ひょっこりと後ろから顔を出した母さんに先輩のことを紹介する。
「AAです。いつもお世話になってます。」
「あら、此方こそいつも二人がお世話になってます。よかったら上がってもらったら？そこじゃ寒いでしょう」
「え、いえ、そんな……挨拶だけしたかっただけなので」
玄関先で話す彼女に気をつかって声を掛けた母さんに対して兄貴の方をチラッと見ながらそう言う先輩。
「私も学校での二人の様子も聞きたいし。ね、いいでしょ、亮ちゃん」
「……どうぞ」
おねだりするように言う母親に小さく息を吐いて兄貴も了承するとお客様用のスリッパを出す。
「ご家族でゆっくりしてるとこに急にすみません…、お邪魔します。」
「いえいえ、気にしないで。お茶淹れるわね、春ちゃん手伝ってくれる？」
「あ、うん」
母さんの後に続いてリビングへと戻る最中、兄貴が先輩に耳打ちしてるのが見えた。
「母親に変なこと言わないでね」
「ってゆーか、お母様にそっくりだね亮ちゃん♡」
「やっぱり帰って」
「んもー！照れ屋さんだなー！」
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作者名：げび | 作成日時：2016年7月15日 22時
