【原田雅功】マイヒーロー ページ28
ある日のオフ。
「雅さーん、早く早くー!もー、トロくさいなー!」
備品の買い出しに行くといったら何故か鳴まで着いてきて二人で仲良く…とはいかないものの街へと出て来た。
これを奢れだ、あれを奢れだ隣でいつものように喚かれて、次第にストレスも溜まっていっていたとき。
「あれ、Aちゃんじゃない?」
「あ?んなこと言ってねーで行くぞ」
「いや、絶対Aちゃんだって!それに困ってるみたいだけど」
そう言われてようやく鳴の指差す方に目を配れば大学生くらいの男数人と話をするAの姿が目に入った。
「ねぇねぇ、あれってナンパかなー?ちょっと雅さん行って来てよ」
だなんて背中を押されるようにして彼女の元へ近付いただけで、男共は逃げるようにどこかへ去って行った。
「……雅さん!?」
「……よう、A。もしかしてさっきのやつら知り合いだったか?」
「まさか!道を聞かれから答えてたんだけど分かりにくいから案内しろーって。
無理って断ったんだけどしつこくて……だから、助けてくれて有難う」
ニコッと笑顔を浮かべる彼女に次の言葉を投げ掛けようとしたが見事に鳴に遮られる。
「どーいたしましてっ!俺たちこの先のスポーツショップ行くんだけどAちゃんも一緒に行こうよ」
「……あー、鳴くんもいたんだ。でも丁度私もそこに用があるから……雅さん、ご一緒しても良いですか?」
「あぁ、俺は構わねぇが……」
「ちょっと!誘ったの俺なんだけど!!」
「うるせぇ、置いてくぞ」
「なんか雅さんって鳴くんのお父さんみたい……」
「……は?」
「えー!やだよー!こんなゴリラみたいなお父さん!」
「俺だってお前みたいな息子はいらねぇ!」
「あはは、本当に仲良し」
「「どこが!!」」
そんな話をしながら目的地である店へとたどり着いた。
「あ、お父さんこれ買ってー」
「誰がお父さんだ」
「ぶはっ、あっははは、ちょ、お腹いたい」
「A笑いすぎだろ…」
「いやもう似合いすぎて!」
「じゃあAちゃんはお母さんねー」
「え、それって雅さんのお嫁さん……!?」
ぽっと頬を赤く染めるA
「やったじゃん!雅さん…じゃなくてお父さん!」
「……もう好きにしてくれ」
大きく溜め息を吐く俺を他所に二人で盛り上がる彼らをみていると、本当にお父さんの気持ちになった。もちろん二人共世話のかかる子供にしか見えないが。
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作者名:げび | 作成日時:2016年7月15日 22時