【小湊亮介】身長の話 ページ3
「りょーすけー!!!!」
「何、うるさいんだけど」
「聞いて!聞いて!身長伸びた!!!」
「…ふーん、どれくらい伸びたの?」
今日は新学期が始まり、身体測定があった。
俺と彼女の身長差は僅か2センチで、正直、少し気にしている。これ以上縮まって貰っては困る。
ちなみに俺はというと今回の身体測定と去年の身体測定の差は無かった。つまり伸びてなかったのだ。
「ふふん、聞いて驚くな……なんと、2mmです!!」
物凄いどや顔でピースサインをする彼女。
「…馬鹿じゃない」
思ったことがそのまま自然と口に出た。
「なんで!!伸びたんだよ!?凄くない!?」
「2mmなんて伸びた内に入らないでしょ」
「伸びたもんは伸びたの!!そういう亮介はどうだったのさ!!」
「俺は別に」
「あ、さては自分が変わってなかったから嫉妬ですね!わかります!!」
「うざい」
「もー、素直に一緒に喜ぼうよー!!」
「相変わらず仲が良いな」
「あ、てっつん!!」
わーぎゃー喚く彼女を適当にあしらっていると哲がちょうど通り掛かる。
「てっつん聞いて!私2mm伸びたの!伸びたのに亮介が認めてくれない!!」
「伸びたのか、良かったな」
「ありがとー!さすがキャプテン!
ところで、てっつんは?どうだった?」
「俺は2センチ伸びていたぞ」
「……。」
俺とAは黙って目を合わせる。
「そっか、……てっつんよく伸びるね。おめでとう」
「?…ああ、有難う」
よくわかっていないであろうままにお礼を言った哲と別れて教室に入る。
「……亮介、ごめん。2mmなんかで舞い上がって自慢して…恥ずかしいわ」
「いや、気にしなくていいよ。2mmだって伸びたのには変わらないじゃん」
身長なんて関係ない、そう思ってはいてもやはり少しは気になるもので。
それでもやっぱり、体が大きいヤツには負けたくないなと再確認した一日だった。
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作者名:げび | 作成日時:2016年7月15日 22時