【御幸一也】バレンタインデー ページ2
【御幸→1年、Aさん→2年】
今日は付き合ってから初めてのバレンタインデー。
普段はどうでもいいようなイベントだけど彼女がいる今年は正直期待して朝からソワソワしてた。
なのに、
「え、一也甘いもの嫌いでしょ?」
「嫌いだけど…Aからのは別じゃん」
「あー…ごめん。甘いもの嫌いって言ってたし他の女の子から貰えるかなーって思ってチョコは用意してないんだよね……」
「Aから貰えると思って全部断ったし」
「あちゃー……そんなにチョコが良かったのか…これ食べる?」
まさかの彼女からの本命チョコは無く、それどころか自分が友達から貰ったいわるゆ友チョコを差し出してくる。
「……いらない」
「ですよね…そんなに私のチョコが良かったのか、そっかーそうだよねー」
「当たり前だろ」
はあ、と小さく溜め息をついて下を向く。
イベントごとが好きで今日も朝から部員達にチョコレート(と言っても既製品)を配り歩いていたくせに、
まさか彼氏の俺にはチョコ用意してないなんて。
まあここまでショック受ける俺も俺だけど。
そんなことを考えていると不意に名前を呼ばれる。
「かーずやっ」
顔を彼女のほうに向けると唇に柔らかい感触が残る。
……チョコレートの、味がした。
「これで許して?それに、チョコレートは用意してないけど、プレゼントはちゃんと用意してるし!」
へへ、と笑いながら紙袋を差し出してくる。
「はは、ずりーな」
そういうことなら早く言ってくれればいいのに。
わしゃっと後ろ髪を掻いてそう呟く。
「来年はちゃんとチョコも用意するね。甘〜いやつ!」
「おう、楽しみにしてる」
俺達はもう一度唇を重ねた。
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作者名:げび | 作成日時:2016年7月15日 22時