#047 ページ49
【御幸side】
「どうして断っちゃったんですか?高橋先輩からの告白」
Aさんに着いて行った先では純さん達の読み通り、復縁を迫る話だった。
もしかして付き合ってしまうのではないか、そう思いながらも少し離れた席からAさんを見つめることしか出来なかった。
一瞬目があったかなと思うとAさんは高橋先輩に頭を下げて断ると俺たちに帰るよと告げてきた。
純さん達は断ったということに安心したのか理由までは聞かなかったが、俺はどうしても理由が聞きたくて夜、Aさんに少し時間を貰って部屋に来てもらった。
「……あの時さあ、みゆきんぐと目があったよね。
なんかみゆきんぐの顔見たら自然と断っちゃってた。
ねぇ、もし私が先輩の言葉に頷いてたらみゆきんぐはどうしてた?」
「………止めに入ってました。もっと言えばその場からAさんを連れ去ってたかも。」
「あはは、そんな感じの顔してた。
私も多分、逆の立場だったら同じ事をしてると思う。
つまり……さ、そういうこと……なんだけど。」
少し照れながら歯切れの悪くなるAさん。
こういう姿を見てると少し意地悪をしたくなってしまう。
「先輩、はっきり言ってくれないと俺はわからないです」
「……好きだよ、みゆきんぐ」
「そこは一也が良かったけど……ま、合格にしてあげますよ。」
真っ直ぐ目を見て言ってくれる先輩の赤くなった頬にゆっくりと手を添える。
「先輩、目閉じて。」
そう言って俺はゆっくりと顔を近付けた。
・
・
・
ガチャッ
あとほんの数センチで唇が触れあうかといった瞬間、扉が開かれ立ち聞きをしていたであろう部員達が雪崩れ込んで来る。
「誰だ!!ドアノブ掴んだやつ!!!」
「あともう少しだったのにね」
「惜しかったな」
盗み聞きをしていたことを悪びれる様子もなく口々にそう言う。
「……見てたなら丁度良いですね。
Aさんはもう俺のなんで、皆さん手出さないでくださいね。」
ぎゅっとAさんの肩を抱き寄せてそう言ってやる。
「オイコラ御幸、言うじゃねーか」
「俺たちからすると御幸が引き取ってくれると助かるよ。Aのこと宜しくね」
「大切にしてやってくれ」
「ヒャハハ良かったじゃねーか!これで公認の仲だな」
こうして青道野球部に一組のカップルが誕生した。
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作者名:げび | 作成日時:2016年6月6日 11時