#037 Jul. ページ39
【Aside】
「わー、今日もいっぱい来てるねー。運ぶの手伝うよー」
「ありがとう。それじゃあベンチのほうまでこれお願いできる?」
夏の大会を控え、試合の組合せも決まった。
試合の日が近づくにつれて日に日にOBの方々が差し入れが増えている。
それをいつもマネージャーが片付けてくれるのだが、余りの量に私も手伝うことにした。
「はー早いねぇ、もうすぐ大会始まっちゃうよー」
「本当、あっという間だったわね。」
他愛の無い話をふっことしながら作業を進めているとさっちーが荷物を抱えながら向かってくる。
「あ、いたいた!Aさーん!なんか、Aさんののと呼んで欲しいっていう人が来てるんですけど……」
「え、私?誰だろ……ちょっと行ってくる」
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【倉持side】
「あれ、A先輩……どこ行くんすかね」
練習中ふとA先輩がグラウンドの外に出てギャラリーのほうに向かっているのを見かける。
隣にいる亮さんも俺の声に不思議そうに視線をやる。
「あ、アイツ……」
A先輩は一人の男の前で立ち止まると話始めた。
「亮さん知ってるんすか?」
「……俺達の二個上の先輩。サッカー部だったんだけど…何しに来たんだろうね?」
「へぇ…」
「ちなみに、Aの元カレだよ。」
「え!?」
「なに、気になるの?倉持」
「いや、まあ……少しは……」
気になるのかと聞かれて最初は否定しようと思ったが、この人に嘘をついても無駄だと思い素直に頷く。
「……ま、気にすること無いんじゃない。1ヶ月もしない内に別れてるから」
「1ヶ月!?なんでまた……」
「さあ?それは本人に聞きなよ。それよりほら、練習再開するよ」
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【Aside】
「A!!こっちこっち!久しぶりだな」
「高橋先輩……!?お久し振りです。」
さっちーに言われて私のことを呼んでいたという人を探していると見覚えのある人物に手招きされ、小さく頭を下げる。
「どうしたんですか?」
「はは、Aに会いに来たんだよ。」
「え?」
「あのさぁ、今度のオフいつ?」
「大会始まるので暫く無いですけど…」
「あー、そうだよな。いつでもいいんだけど、休みの日、一緒に出掛けない?……二人で。」
状況をイマイチ掴みきれない私を他所に話を続ける先輩。
――「Aになんか用っすか?」
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作者名:げび | 作成日時:2016年6月6日 11時