夢の舞台へ (ページ37)

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【御幸side】

「あーもう本当最悪……」

「はっはっは、俺も見たかったなー、腰抜かす先輩♡」

「笑い事じゃない！！アイス奢ってくれるっていうからおかしいと思ったんだよー！あの凶悪二遊間コンビめ……」

「まあまあ、その思いはボールにぶつけましょう。さあ、遠慮なくどーぞ！」

「……で、これはどういうことでしょう」

今俺達がいる場所はグラウンド。

先輩をマウンドに立たせ、俺はホームベースの後ろにしゃがみ、ミットを構えている。勿論防具もフル装備だ。

「え？先輩、練習に付き合ってくれるって言ったじゃないですか。」

「確かに言ったけど……まさか投球練習させられるとは……」

「俺からしたらキャッチングの練習ですけどね。

先輩何種類か変化球も投げれるって聞きましたよ。

色んな球受けたいんで、宜しくお願いします」

「嘘！誰から聞いたの！！」

「純さん。いいからとにかく投げてくださいよ」

「はあ……わかった！じゃあいくよー」

最初はぶつぶつと文句を言っていたが覚悟を決めてくれたようだ。

バシッ

「しゃーっ、ストライク！！こう見えてコントロールはいいんだよー！

……ってあれ、みゆきんぐどうかした？」

綺麗に頭上に伸ばされた腕

地面と太ももが平行になるように上げられた足

グローブで一度太ももをとんっと叩くと

それから大きく前に足を踏み出して、思いっきり振られた手から放たれるボール。

お手本のような、一挙一動が綺麗な投球フォームに少し見惚れてしまう。

「……ナイスボール！A先輩、ピッチャーもいけますね」

ボールを返球しながら声をかける。

「あはは、有難う！一時バッティングピッチャーもしてたんだけどねー

頑張っても100km/hくらいしか出ないから練習にならないと思って最近投げてなかったんだよねー」

確かに球速は無いが女子にすれば充分だ。

はは、本当女子ってことが勿体ないくらいのセンスの持ち主だな……。

「じゃ、次はカーブねー」

変化球も交えて何球か投げた後

「お、珍しいじゃねーか！Aが投げてるなんてよぉ！！」

「打席に入ってもいいか」

ぞろぞろと2年の先輩達が集まってきて何故かA先輩をピッチャーとして実践形式の練習が始まった。

流石に打たれまくってたけど。