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#003 ページ4

【倉持side】



「オラァ!たーんと食え!!」



朝の練習が終わり、部員全員が食堂に集まる。



ここでの食事のルールは3杯以上食べること。



しかも山盛り…では言葉が足りない程高く盛られたご飯。



「箸止まってんぞ1年ー!!」



さっさと食べ終わった先輩達の声が響く。



(なんだよこの人達…バケモンかよ……)



朝だから、と言っても優しく無い練習をこなした後にこの量はいくら食べ盛りの高校男児と言っても正直キツイ。



俺の右隣に座っている涼しい顔した眼鏡野郎も流石に辛そうだ。



周りに目をやると今にも吐きそうになっているヤツまでいやがる。




「ご馳走様でしたー!!」



そんな中一際明るい声が食堂に響く。


声の主は先程まで1年の間で話題になっていた1人の先輩だ。どうやら完食したらしい。



「……あの、ちょっと聞いても良いっすか?」



「あぁん?残してぇってんなら聞かねーぞ?」



俺の左隣に腰を掛け、先程から大きな声を出している先輩――伊佐敷純さんに声を掛ける。



余談だが、何故か練習の時からこの先輩には目をつけられているみたいだ。




「……あの先輩って、マネージャーじゃないんすか?」



箸を止めたら怒られそうなので、極力食事を進めるようにしつつ、朝から話題になっている事を素直に問いかける。




「……オイ、A!ちょっとこっち来い!!」



「えっ、ちょっと純さん待っ…」



純さんは答えようとはせず、食堂を出ようとしていた話題の中心人物を此方へ呼び寄せてしまう。



「はーい、じゅんじゅんどうしたのー?」



「るせぇ!その呼び方ヤメロって言っただろうが!!」



唖然として2人のやり取りを見ているとふと彼女が此方を向く。



「……あれ、もしかして……洋ちゃん?」



「……へ?」


洋ちゃん――それは地元でダチに呼ばれていた俺の名前だ。



思わぬ言葉にポロッと箸からご飯の塊を落としてしまう。



「あり?違った?まあいいか。私はAA!Aって呼んでねー!」



俺の反応を見て人違いだと思ったのか自己紹介を始める。


AA……A……



「!!A!?」



「はーい、Aだよー!」



「××ボーイズの…A…だよな?」



「そうー!やっぱり洋ちゃんだ!!久しぶりだね!!」



ニコッと笑った顔は確かに、俺の記憶の片隅にあるモノと同じだった。

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作者名:げび | 作成日時:2016年6月6日 11時

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