#027 ページ28
【御幸side】
「あ、やばい。私キヨさんに部対抗リレーのことで呼ばれてたんだった。
ごめん、幸平!ちょっと行ってくるね!」
急に校舎の時計を見たA先輩は慌てて走り去っていく。
「はは、ごめんなーAマイペースだろ。」
残された俺達はなんとなく話を続ける。
「Aって昔からあんな感じなんすか?」
「そうなんだよ、君たちにも迷惑掛けてなきゃいいんだけど。」
「ところで幸平さんは地元の学校っすか?見ない制服ですけど……」
「ん?ああ、そう。俺は家から一番近いとこに通ってんだ。本当は俺がここにくるはずだったんだけどな……」
ははっと幸平さんはどこか寂しそうに笑った。
意味深な言葉疑問を浮かべ問い詰めようとすると
「……え?それってどういう……」
「おーい、みんなー!!キヨさんが全員集まれって呼んでるー!!」
丁度良いタイミングでA先輩が戻ってくる。
「そういうことだから、幸平ゴメン!」
「いや、大丈夫。俺ももう帰らないとだし。また家に連絡いれなよ、母さん達も楽しみにしてるから」
「うん、じゃあ気をつけてね!
ほらみんな何突っ立ってんの!!急がないとキヨさんに怒られるよ!!」
ぐいぐいと亮さんと純さんの背中を押しながら先輩は歩いていく。
「あ、そうだ、御幸くん…だっけ?
さっきの借り物競争、見てたけど……Aのことからかう気なら止めてくれよ。
でももし本気なら……大切にしてやってくれな。」
ふと呼び止められたかと思うと真剣な顔をして幸平さんは言う。
俺には兄弟がいないからよくわからないけれど、幸平さんのA先輩を大切に思う気持ちが伝わってきて
「はは、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。おにーさん。」
とだけ返事をしておいた。
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作者名:げび | 作成日時:2016年6月6日 11時