#014 ページ15
【倉持side】
「話は川上から聞いたで。
コイツら黙らせるにはプレーで魅せるしかない……そういうことやろ、A?」
東さんの一言でさっきまで色々と言っていた皆が言葉をのむ。
「キヨさん………!お久しぶりです」
ガバッとA先輩が東さんのお腹に抱きつくも手が背中まで回らず「あれ、またお腹太りました?」なんて口に出してしまえば「じゃかあしい!」と一喝されてしまっている。
さっきまでの険悪ムードなんてお構いなしにいつもの調子のA先輩に純さん達も調子が狂っているようだ。
「よし、じゃあ急いで準備するね!ふっこ、テーピングお願いできる?」
そう言うと二人はテーピングやら着替えやらでマネージャー室の方へと向かっていく。
「ちょ、亮さん、放っといていいんすか?」
「仕方ないね……こうなったらAはきかないから……」
亮さんだけじゃない、他の先輩方もA先輩を止めることを諦めたようだった。
「オイ、一年。他にもAのことを認められへんっちゅーヤツは残って見て行け。」
東さんはそう告げるとバットで素振りを始めた。
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「お待たせしましたー!!」
暫くすると着替えてグローブを手に持ったA先輩が戻ってくる。
「A!アップはちゃんとしたんだろーなー!?」
すっかりいつもの様子の純さんが声をあげる。
「だいじょーぶ!
……なかじーお待たせ。それじゃあ私はショートに入るからなかじーはセカンドに入ってくれる?
それから1つルール!どっちかが打球を捕球したらもう片方は必ずセカンドベースに入ること。
ゲッツー想定で捕球、セカンド送球、ファースト送球までしてクリアね。
ミスせずに連続で20回でしゅーりょー!おっけー?」
「………わかりました」
中嶋は少し気まずそうにしながらもそう返事をするとセカンドの位置へと歩いていく。
「Aー!手加減せーへんぞー!準備はええかー!!」
「はーい!いつでも大丈夫です!監督達にバレる前に始めちゃいましょう!」
そうしてA先輩と中嶋との少し変わったノック……A先輩が言うには『二遊間のコンビネーションを磨こう大作戦』ノックが始まった。
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作者名:げび | 作成日時:2016年6月6日 11時